地域地区
ちいきちく
地域地区とは、都市計画法で土地利用について定められた地域などで、都市計画の基本となるものです。
地域地区とは、住宅地、工業地、商業地など、土地利用の全体像について定めたものです。
市街化区域および
市街化調整区域ともに、次のような地域、地区、または
街区があります。
土地利用のあり方の基本となる「
用途地域」、
用途地域が定められていない土地の用途の概要を定める「特定用途制限地域」、高層住宅の建設を誘導する「高層住居誘導地区」、建築物の高さの最高限度または最低限度を定めた「
高度地区」、
市街地再開発事業の対象となる「高度利用地区」、「都市再生特別地区」、火災の危険を防ぐために建物の構造などを規制する「
防火地域」「
準防火地域」、景観を保護する「
景観地区」、都市の風致を維持するための「
風致地区」、古都を保存するための「歴史的風土特別保存地区」、都市の緑地を保存する「緑地保全地域/特別緑地保全地区」「緑化地域」、「
生産緑地地区」文化財を保護するための「伝統的建造物群保存地区」などがあります。
景観地区
景観地区とは、都市計画の地域地区のひとつで、市街地の良好な景観の形成を図るために建築物の形態意匠に制限を設けるものです。2004年に景観法が制定されたことに伴って、都市計画法に設けられた地区です。
景観地区は、形態意匠の制限や建築物の高さの最高限度、最低限度、敷地面積の最低限度などについて、市町村が都市計画として決定します。景観地区内で建築などを行うためには、形態意匠の制限に適合するかどうか、市町村の認定を受ける必要があります。
高度地区
高度地区とは、都市計画法に基づき、用途地域内において市街地の環境を維持したり、土地利用の増進を図るために、建築物の高さの最高限度や最低限度を定めているものです。高度地区の制限内容は、各自治体によって異なります。
建築物の高さの最高限度を定めるものは、市街地環境の維持を目的としています。北側敷地への日照、通風、採光などを保護するための「北側斜線制限」と、街並みの景観に配慮して突出した高さの建築物を防止する「絶対高さ制限」、および「北側斜線制限」と「絶対高さ制限」を組み合わせたものがあります。
建築物の高さの最低限度を定めるものは、災害時の避難路の安全確保や土地利用の増進を目的としています。制限される高さは自治体により、7mや12m、中には20mといったものもあります。主として、大きな駅の周辺や幹線道路沿いなどで、指定されている例があります。
市街化区域
市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域と、今後10年以内に優先的計画的に市街化を図るべき区域です。都市計画では、無秩序な市街化を防止して計画的な市街化を進めるために、「市街化区域」と「市街化調整区域」を定めています。この「線引き」を土台として都市計画が定められ、計画的な市街化が図られます。
市街化区域内では、用途地域が定められ、道路、公園、下水道などのインフラが重点的に整備されます。また、土地区画整理事業や市街地再開発事業なども実施されます。農地転用についての許可は不要で、届出のみとなっています。
市街化調整区域
市街化調整区域とは、市街化を抑制する地域として指定されている区域です。都市計画では、無秩序な市街化を防止して計画的な市街化を進めるために、「市街化区域」と「市街化調整区域」を定めています。この「線引き」を土台として都市計画が定められ、計画的な市街化が図られます。
市街化調整区域は、原則として開発は禁止され、用途地域を定めません。開発を行う場合には、農林漁業用などの限定されたものしか認められません。また、農地転用には許可が必要です。
また、原則として、住宅は建てられません。
市街化調整区域で建物を建てるなどの開発を行うには、都道府県知事などの開発許可が必要です。開発許可は、公益上必要な施設や日常生活に必要な店舗、市街化区域に隣接した地域または条例で指定した区域において環境保全上支障がないと認められた建築物などが対象となります。
市街地再開発事業
市街地再開発事業とは、都市再開発法に基づいて、老朽木造住宅などが密集している地区などを対象に、敷地の統合やインフラの整備を行うものです。再開発ビルの建築や公園、広場、街路などの整備による土地の高度利用と都市機能の更新を図ります。
事業は、個人、組合、再開発会社、地方公共団体、都市再生機構などが施行します。事業には、従前の土地・建物所有者の権利を再開発ビルの床に関する権利に交換する権利交換方式(第1種市街地再開発事業)と、公共性・緊急性が高い事業で、土地・建物などを買収または収用する(買収後に希望があれば、代償として再開発ビルの床を提供)管理処分方式(用地買収方式)(第2種市街地再開発事業)の種類があります。高度利用で新たに創出した保留床を売価して、事業費の一部に充当します。
準防火地域
準防火地域とは、都市計画法で指定された地域の一つです。市街地における火災の危険を防ぐために、防火地域に準じて、建物の構造などを規制しています。地階を除く階数が4階建て以上または延べ床面積が1,500m2を超える建物は、耐火構造としなければなりません。延べ床面積が500m2超1,500m2以下の建物は、耐火構造または準耐火構造にしなければなりません。3階建ての建物は、耐火構造、準耐火構造または外壁や軒裏を防火構造にするなどの一定の技術基準に適合する必要があります。通常の木造平屋建てや木造2階建ては建築できます。
生産緑地
生産緑地とは、生産緑地法に基づいて、市街化地域内にある500m2以上のまとまった農地など(牧草地、森林、池沼など)について、農林漁業と調和した都市環境の保全を図るために指定されます。生産緑地地区に指定されると、建築物の新築や宅地造成を行う場合には、市町村長の許可を受けなければなりません。この許可は、農産物の生産集荷施設や市民農園の施設を設置する以外は、原則として認められません。
生産緑地に指定されると、固定資産税は宅地並みの課税と異なり、農地課税となります。また、その生産緑地が指定の告示の日から30年を経過したとき、または、農林漁業の主要な従事者が死亡した場合などには、市区町村長に対して、その生産緑地を時価で買いとるべき旨を申し出ることができます。
風致地区
風致地区とは、都市計画法によって指定される地区で、都市における風致の維持を図るものです。市街地にある景勝地や、都心の中で水や緑など豊かな自然に恵まれた丘陵地や水辺、歴史的な意義のある地区などに指定されます。
風致地区の指定は、10ha以上は都道府県が、10ha未満は市町村が行います。
制限される内容は、建築物(建ぺい率、高さ、壁面後退)、建築物などの色彩の変更、宅地の造成、水面の埋め立てまたは干拓、木竹の伐採、土石類の採取、屋外における土石や廃棄物または再生資源の堆積などで、許可が必要となります。
防火地域
防火地域とは、都市計画法によって指定された地域の一つです。市街地における火災の危険を防ぐために、建物の構造などを規制しています。基本的には建物は耐火構造にする必要があります。2階建て以下で延べ床面積が100m2以下の建物は、耐火構造または準耐火構造にしなければならないと定められています。また、高さ3mを超える看板や広告塔、建物の屋上に設けるものは、主要構造部分を不燃材料で造るか覆う必要があります。
防火地域に指定されるのは、主として市街地の中心部や幹線道路です。従来型の木造住宅のなかには耐火構造・準耐火構造に対応していないものもあり、その建築物は防火地域には建てられません。
用途地域
用途地域とは、地域における建物の用途に一定の制限が設けられたものです。市街化地域の計画的な利用によって環境保全を図るために、都市計画法で指定されています。その土地にどんな建物が建てられるのかという最も重要な地域地区の情報で、周辺環境を知る上でも重要な目安となります。
用途地域は12種類あります。そこでは建築基準法などによって、建築できる建物の種類、建ぺい率、容積率、斜線制限、高さの限度、日影制限、外壁の後退、敷地の最低規模などが定められています。
各用途地域には、「第1種低層住居専用地域」「第2種低層住居専用地域」「第1種中高層住居専用地域」「第2種中高層住居専用地域」「第1種住居地域」「第2種住居地域」「準住居地域」「近隣商業地域」「商業地域」「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域」があります。
2つ以上の用途地域にまたがるときは、敷地の過半が属する用途地域の規制を受けます。建物にも周辺環境にも大きな影響があるので、対象物件がどの用途地域に属し、どんな規制があるのか、確認することが大切です。
街区
街区とは、市街地において、道路などで囲まれた一区画をいいます。ブロックともいい、住居表示でいうと、○丁目○番地○号における○番地一帯を指します。
区切りとなるのは、街路のほか、鉄道や河川、水路などで、一般的には1辺が数十mから100~200mほどの距離で囲まれた広さとなります。
街づくりで景観や落ち着きを確保するために、街区ごとの統一感や特徴が重視されます。地区計画や再開発などの街づくりは、街区をひとまとまりの最小単位としてプランニングします。