狭小住宅
きょうしょうじゅうたく
狭小住宅とは、狭い敷地に建てる住宅のことです。
狭小住宅とは、15坪前後の狭い
敷地に建てる住宅をいいます。都市など住宅密集地で、狭くてもその土地に暮らしたいといったニーズがあります。最近では、狭小住宅向けの商品を出しているハウスメーカーや狭小住宅を専門的に取り扱うメーカーもあります。
狭小住宅は、
敷地面積が狭いことに加え、隣家が迫っている、変形地であるなど、さまざまな制約があります。これに対し、3階建てとする、
地下室をつくる、
スキップフロアにする、
パティオを設けて
採光を確保する、
トップライトから陽光を階下まで届ける、
リビングイン階段で開放感をもたせるなど、多彩な工夫が施されます。狭さを楽しむかのようなデザインもあり、注目を集めています。
トップライト
トップライトとは、天窓のことです。屋根面に設けられた窓で、明かりとりの役割をします。
トップライトは、立地条件などによって採光に課題がある場合や、暗くなりがちな北側や廊下などに設けることで、採光が可能となります。上から光を取り込むため、壁側の窓より採光効果が大きいのが特徴です。建築基準法では、壁面の窓に比べてトップライトは約3倍の採光効果があると規定されています。また、室内の広い範囲に自然光が届くのも利点です。
トップライトには、固定式と開閉式があり、開閉は手動式と電動式があります。開閉できるタイプでは通風による省エネ効果も期待できます。
ただし、トップライトを設置するには、雨の降りこみや結露対策、断熱性能などに注意が必要です。
パティオ
パティオとは、中庭のことです。パティオ(patio)はスペイン語で中庭とか裏庭を意味します。
建物に囲まれた屋外空間で、タイルや石が敷き詰められていたり、コンクリートなどで舗装され、噴水や植栽などが配置されています。屋外で食事を楽しんだり、住人のコミュニケーションの場としても活用されます。
最近のマンションや一戸建て住宅で、建物に囲まれた形で設けた庭をパティオと呼びます。道路側からは隔てられており、人目に触れることのないプライベートな空間となります。
マンションでは住戸棟に囲まれた広いスペースにパティオを設ける例もあります。一戸建て住宅でも、パティオを配置することで効果的に光や風を取り込む方法もあり、敷地面積に余裕がある場合だけでなく、都心などの狭小住宅に採用されるケースもあります。
リビング
リビングとは、居間のことです。Living-roomのことで、家族だんらんのスペースになります。
かつての日本家屋では、「茶の間」と呼ばれた空間です。家族が一緒に寛ぎ、コミュニケーションの中心になる場所なので、家づくりや物件購入で重要視されます。
マンションではダイニングと一体となったLDや、キッチン・ダイニング・リビングが一体となったLDKが主流です。コミュニケーション重視かプライバシー重視か、居住空間が縦長か横長かなどでリビングの配置は違ってきます。リビングを通らずに各居室に出入りできるタイプや、あえてリビングインとしてLDから個室に出入りするタイプもあります。また、ゆっくりと眺望を楽しめる工夫なども施されます。
家で過ごす時間を考慮して、ライフスタイルに合ったリビングの広さや形状を決めるといいでしょう。
採光
採光とは、自然の光を窓などから室内に取り入れることをいいます。建築基準法では、住宅の居室について、居室の床面積の1/7以上の採光に有効な開口部の面積が必要と規定されています。ただし、「採光」とは直射日光のことではないので、北側の窓が「採光に有効な窓」となる場合もあります。有効な採光面積は、用途地域や部屋の大きさ、窓の大きさによって決定されます。ただし、納戸やトイレ、浴室、洗面室などは対象となりません。
隣家が迫っている住宅密集地などでは、採光を確保するために、天窓やライトコートを設けるなど、さまざまな工夫が見られます。また、日当たりを調節するには、カーテンやブラインド、反射ガラスなどを利用します。
敷地
敷地とは、建物が立っているか、これから建物を建てる土地のことです。敷地面積は、その土地の面積のことで、水平投影面積をいいます。水平投影面積とは、土地や建物を真上から見たときの面積で、傾斜や凹凸があっても、水平として測定した面積になります。
敷地面積には、登記簿に記載された登記簿面積(地積)と実測面積が異なっている場合があります。そのため、土地の売買契約などにおいては、土地家屋調査士などの専門家による実測をしてからというのが鉄則です。
なお、住宅を建てるために土地を購入するときには、接道条件などによっては、土地面積の一部が敷地面積に算入できないので、注意が必要です。また、敷地面積だけでなく、建物の配置や駐車場のスペースなども考慮しましょう。
スキップフロア
スキップフロアとは、1階と2階に対して、中2階(あるいは1.5階)のように、半階ほどずらして配置するフロアのことです。
スキップフロアは空間を有効活用する手法の一つです。また、階段の上下に連続性ができ、開放感が生まれます。ショッピングセンターなどで、フロア間に適度な独立性と連続性を持たせるために採用されることがあります。また、住宅などでは、限られた敷地内に居住スペースと収納スペースを確保する、どこにいても家族の気配が感じられる、などの理由でスキップフロアを取り入れる例もあります。
ただし、スッキップフロアは構造上高度な設計や技術が要求され、対応できる業者が限定されます。また、開放感がある半面、遮音性や冷暖房効果は落ちることがあります。
地下室
地下室とは、地階に設けた居室をいいます。建築基準法では、床面から天井までの高さの3分の1以上が地盤面より下にあるものを地下室と呼んでいます。また、地下室の天井が地盤面から1m以下にある場合には、容積率の緩和措置があります。地下室の面積が建物全体の延べ床面積の3分の1以下の場合には、地下室の面積は延べ床面積に算入されません。
ただし、地下室は採光や防湿に十分な対策をとる必要があります。地下は年間の温度変化が少なく、断熱性や遮音性に優れますが、一方で、採光や換気、防湿、排水などが課題です。建築基準法では、採光のために一定基準以上のドライエリア(空堀)を設けることのほか、換気設備や温度調整設備の設置、耐水対策などを定めています。
地下室は限られた敷地を有効に利用できることで注目されていますが、高度な建築技術が必要で、建築費用も高くなります。