メンテナンス
めんてなんす
メンテナンスとは、点検、整備、修理などで維持することをいいます。
メンテナンスとは、保守・点検、維持・管理の意味で、住まいを快適に維持するうえで欠かせないものです。住宅の耐用年数を延ばし、快適性を維持するうえで、適切なアフターメンテナンスは重要な役割を担います。
マンションなどでは
長期修繕計画が立てられ、計画に基づいた維持管理が行われます。一戸建てにおいても住まいのメンテナンスは重要で、5年単位での点検と補修が望ましいといわれています。
メンテナンスの対象となるのは、
屋根や外壁、ベランダ、
開口部、
防蟻処理、
配管、
内装など、多方面に渡ります。マンションでは修繕積立金などがありますが、一戸建てもメンテナンスを前提として費用を準備する必要があります。
内装
内装とは、建物における内部の仕上げや室内の装飾、付随する設備などをいいます。床や天井、壁などの仕上げや装飾、室内の扉、家具、キッチンなどの下地や仕上げ材、造作建具、照明などを指します。
内装に用いる建材や仕上げ材などは、製品によって価格の幅も大きく、特性も異なります。新築時やリフォームに際しては、ライフスタイルや用途、こだわりに応じた建材などの選択が可能です。
例えば床では、地元産の檜や杉などを用いた無垢材のフローリングで、木の香りや肌触り、耐久性、高級感、自然との調和といったものを手に入れることもできます。一方、子どもが汚したり傷つけることを前提に、掃除のしやすいクッションフロアにすることも選択肢の一つです。
内装の設えは、美観と機能の両面があり、耐火性や防音性など機能面の配慮も大切です。
配管
配管とは、建物内の設備機器と屋外の上下水道、ガス管を結ぶ専用管や空調用ダクトなどを配置することです。配管には、給水管、排水管、ガス管、配水管、空調の換気管などがあります。配管図には配管経路、接続方式、設備機器の設置場所などが示されています。
配管工事は専門職である配管工が行います。具体的には、配管図に即して、管を切断し、折り曲げるなどの加工をして、継手という道具でつなぎ、弁の取り付け、溶接やネジでつなぐなどで配管を完了させ、各設備を取り付けて運転できるようにします。
配管は建物が完成した後では目につかないものですが、住宅の維持管理上重要な役割を担います。清掃口や点検口が設けられているなど、長期的な維持管理が配慮されていることが重要です。
屋根
屋根とは、風雨や日射から建物を守るために、建築物を覆うように設けられた構造物です。気候や風土によって特徴があり、形状や屋根材の種類もさまざまです。
屋根の形状および屋根材を決めるうえで、基本として求められるのが、耐震性、防水性、防火性、耐久性、断熱性などです。特に木造住宅の場合には、屋根材の重量によって、耐震性を確保するために構造上、壁の量を増やす必要などもあります。また、素材によって雨漏りを起こさないための屋根の勾配も規定されます。
屋根の形状には、切妻(きりづま)、寄棟(よせむね)、陸屋根(りくやね)、片流れ(かたながれ)、入母屋(いりもや)、方形(ほうぎょう)、鋸屋根(のこぎりやね)、バタフライなどがあります。
屋根材には、瓦などの粘土系、セメントなどを加工した化粧スレート、石を板状にした天然スレート、金属系のガルバリウム鋼板、銅板などがあります。
開口部
開口部とは、建物の壁などに設けられた窓や出入口など屋外や室外に向かって開かれた部分です。リビングや居室の窓、天窓、玄関や室内ドアなどをいいます。
開口部は、採光、換気、通風、眺望、通行などの役割があります。床面積に対して一定以上の開口部がなければ、居室と呼べません。
開口部の位置や広さは、建築物の躯体強度に影響するほか、通風や採光などの居住空間の快適性や断熱性なども左右します。また、リビングに大きな窓を設けて眺望を楽しんだり、隣家との距離や視線を考慮して開口部の位置や高さを工夫するなど、室内からの視界、外部からの視線なども考慮することが大切です。
また、出入口として使用する開口部は、開閉に必要なスペースや開閉時の安全性なども考慮されます。
防蟻処理
防蟻処理とは、シロアリによる被害から建物を守るために行う処理をいいます。シロアリ防除処理と呼ぶこともあります。シロアリは北海道の北部を除く全国にみられ、家屋に住みついて木材をエサとするため、土台や柱などが被害に遭うと建物が倒壊する危険性もあります。
シロアリ防除は建物の新築時に行う予防処理と、既存の建物に対してシロアリを駆除したり予防する場合があります。また、処理方法には、土壌処理と木部処理、ベイト工法があります。
土壌処理は、シロアリの侵入経路となる土壌に薬剤を散布する方法です。シロアリの侵入防止には最も効果的な方法で、土壌に薬剤を散布することで防蟻層を形成します。また、シロアリが湿気を好むことから、防湿シートを張ることもあります。
木部処理とは、建材に薬剤を散布または塗布したり、木材や壁に薬剤を注入する方法です。地表1mまでの部材には、入念な処理が必要です。
ベイト工法とは、駆除剤を混入したエサによってシロアリの集団を死滅させる方法です。この方法は、従来処理の約1,000分の1の薬剤で済むため、環境負荷が少なくて済みます。
なお、防蟻剤には神経毒性を持つ薬剤もあり、化学物質過敏症などの健康被害も懸念されます。防蟻剤の中でクロルピリホスの使用は禁止されています。防蟻処理の効果は約5年とされています。定期的な再処理行うことと、その際に使用される薬剤を確認することが大切です。
長期修繕計画
長期修繕計画とは、分譲マンションを長期にわたって良好に維持し、快適な住環境の確保と資産価値の維持・向上を図るために、長期的な視野に立って、大規模修繕や設備交換などをプランニングするものです。
確かな長期修繕計画があることは、マンションの維持管理において極めて重要です。新規分譲時には、分譲会社が長期修繕計画を作成し、プランに基づいて必要な費用と修繕積立金などを算出します。管理組合結成後は、管理組合が受け継ぐことになります。
管理組合が長期修繕計画について理解し、比較検討がしやすいように、国土交通省では「標準的な様式」を策定しています。
長期修繕計画は、最低でも20年以上、工事項目や工事時期、工事周期、数量などを作成する必要があるといわれています。