盛り土
もりど
盛り土とは、傾斜地を造成するときに、土砂を盛って平らにした土地です。
盛り土とは、傾斜地や低地を
宅地造成するときに、土砂を盛って平らな
敷地にする造成です。
宅地造成には、斜面を削って平らにする「
切り土」と、古い地盤の上に土を盛って平らにする「盛り土」があります。「
切り土」の地盤は比較的安定していますが、「盛り土」は十分な締め固めができていないと、地震や大雨などで地盤が緩み、地滑りや
液状化を起こす危険があります。また、建物の重さによって
不同沈下を起こすことがあります。
過去の災害でも、「盛り土」での被害は少なくありません。
宅地造成規制法によって規制区域内の
宅地造成には都道府県知事の許可が必要ですが、同法が施行された1962年以前の造成については規制がありません。
なお、大規模盛土
造成地について情報公開している自治体もあります。
敷地の安全性を確認する上では、不動産会社や自治体に問い合わせることも、一つの方法です。
地盤の強度が不十分であれば、
地盤改良工事が必要となります。
液状化
液状化とは、地震の振動などで地盤が泥水化する現象で、建物や道路が傾いたり、沈下したり、水道管などが浮き上がって破損するなど、大きな被害をもたらすことがあります。ゆるい砂地盤の海岸や河口付近、埋立地、河川の扇状地などで発生しやすく、東日本大震災では広範に被害が及びました。液状化は、建築物が受ける直接被害に加えて、道路の寸断や上下水道の切断などライフラインに影響します。また、一度液状化した地盤は、再液状化のリスクも抱えます。そのため、リスクエリアでの地盤調査と対策は大変重要です。
液状化対策には、地盤改良と建築物の対策の2つの方向があります。地盤改良には、地盤を締め固める、安定剤などで固める、地下水を抜くなどの方法があります。建築物の対策では、支持層と呼ばれる硬い基盤まで杭を打ち込むなどの方法があります。
なお、液状化のリスクについては、液状化ハザードマップなどを参考にすることができます。
地盤改良
地盤改良とは、建物の基礎地盤を安定させるため、地盤自体の強度を高めることをいいます。軟弱な地盤に対して、液状化や地盤沈下などによる被害を避けるために施される工事の一つです。
地盤改良の方法には、地盤の中の水を抜く方法や、地盤に地盤固化材を混ぜて固める工法があります。地盤を固める工法は、軟弱地盤の深さによって適する工法が異なります。2m以内程度と比較的浅い場合には、地盤全面にわたって元の土とセメント系固化材を混ぜ合わせて固める、表層改良工法が一般的に採用されます。軟弱地盤が深部に及ぶ場合や超軟弱地盤の場合には、セメントミルク(セメント系固化材と水を混ぜたもの)を地盤の中に注入撹拌して、柱状の改良杭をつくる杭状改良工法が選択されます。そのほか、砕石を用いる工法などもあり、さまざまな地盤改良技術の発展がみられます。
敷地
敷地とは、建物が立っているか、これから建物を建てる土地のことです。敷地面積は、その土地の面積のことで、水平投影面積をいいます。水平投影面積とは、土地や建物を真上から見たときの面積で、傾斜や凹凸があっても、水平として測定した面積になります。
敷地面積には、登記簿に記載された登記簿面積(地積)と実測面積が異なっている場合があります。そのため、土地の売買契約などにおいては、土地家屋調査士などの専門家による実測をしてからというのが鉄則です。
なお、住宅を建てるために土地を購入するときには、接道条件などによっては、土地面積の一部が敷地面積に算入できないので、注意が必要です。また、敷地面積だけでなく、建物の配置や駐車場のスペースなども考慮しましょう。
宅地造成
宅地造成とは、農地や牧草地、森林などの宅地以外の土地を宅地にするために、土地の形や性質を変えることです。既に宅地となっている土地を、宅地として形質を変える場合も含みます。
宅地造成は傾斜地などで行われることも多く、崖崩れや土砂の流出による災害を防止するために、宅地造成等規制法が設けられ、規制区域内の一定の宅地造成については都道府県知事の許可が必要となっています。規制の対象となる宅地造成は、「切り土で、高さが2mを超える崖を生ずる工事」「盛り土で、高さが1mを超える崖を生ずる工事」「切り土と盛り土を同時に行うとき、盛り土は1m以下でも切り土と合わせて高さが2mを超える崖を生ずる工事」「切り土、盛り土で生じる崖の高さに関係なく、宅地造成面積が500m2を超える工事」のいずれかに該当するものです。
許可には、擁壁や排水設備、地滑り防止設備、地盤の安定などについて技術水準が定められています。
また、宅地造成等規制区域外に対しても、宅地造成に伴う災害の危険があるものには、都道府県知事は「造成宅地防災区域」に指定することができます。この区域に指定されると、災害防止のための擁壁設置義務などの規制を受けます。
不同沈下
不同沈下とは、地盤や建物の基礎が、場所によって不均一な沈下が生じることで、これによって建物に亀裂が入ったり、基礎の破損や建物が傾くなど、大きな被害が発生することがあります。
不同沈下では地盤の沈下が水平でないため、建物が傾くと部分的に荷重が加わり、ねじれによって損傷を受けたり、柱や梁など構造にも影響を及ぼすことがあります。
不同沈下の原因には、軟弱地盤に荷重の偏った建物が立っている場合、造成地における切り土と盛り土の境界などで十分に締め固めできていない場合、建物の下の軟弱地盤の厚さが一様でない場合、雨水や地下水の浸透や汲み上げで地盤が動く場合などがあります。
不同沈下は建物倒壊の危険もあるため、地盤補強工事などの対応が必要です。
造成地
造成地とは、宅地開発された土地のことで、住宅地としてのインフラや環境が整備されている土地をいいます。一定規模以上の「宅地造成」には、都道府県知事の開発許可が必要です。
造成地は規模が大きくなると、新しいコンセプトで街づくりが進められ、タウン内の交通安全性や緑地化、無電柱化など、良好な住環境が整備されていることが多くなります。また、計画的に道路が配置され、境界線も明確です。
一方、宅地の造成は、切り土、盛り土、埋め立て、地盤改良などによって行われるため、造成地のなかには地盤面で盤石でないものもあります。
切り土
切り土とは、傾斜地を宅地造成するときに、斜面を削って平らな敷地にする造成です。もともとの地面を削るので、地盤の強度は維持されるといわれています。
また、宅地造成では、切り土で出た土を盛り土に使うことも多いようです。
切り土の場合も、高さが2mを超える崖が生ずる場合は、宅地造成規制法によって規制区域内の工事には都道府県知事の許可が必要です。
豪雨や豪雪による落石や崖の崩壊などに対して、切り土がどの程度の安全性をもつかは、土壌の質や形状、擁壁の状況によって異なります。