窓
まど
窓とは、部屋の通風や採光のために設けられた開口部です。
窓は、
採光、通風、換気、眺望などのために設けられる
開口部です。風通しや断熱性など、窓の機能は四季を通じた室内の快適性に大きく影響します。また、外観デザインや室内空間、窓からの眺望など、ビジュアル面でも窓の役割は重要な要素となっています。
窓の種類は、取り付けられる位置により、次のような分類があります。
・
掃き出し窓・・・・・窓枠の底辺が床面近くまである窓。
リビングなどに設けられる大型の窓をいいます。
・腰高窓・・・・・窓枠の底辺が腰ほどの高さにある窓。
・
出窓・・・・・建物の外に張り出す形で設置する窓。
・天窓・・・・・天井に設置する窓。
トップライトともいいます。
また、開閉方法による分類では、次のようなものがあります。
・引き違い窓・・・・・横に引いて開け閉めする窓で、日本では最も一般的な窓です。
・はめ殺し窓・・・・・開閉できない窓です。フィックス窓ともいわれ、
採光のために設けます。
・外開き窓・・・・・外に向かって開く窓で、片開きと両開きがあります。
・内倒し窓・・・・・室内に向けて倒れるように開く窓です。
そのほか、「
回転窓」「滑り出し窓」「
上げ下げ窓」「
ルーバー窓」など、多彩な種類があります。
また、サッシやガラスの素材も豊富で、それぞれに性能や特徴があります。
トップライト
トップライトとは、天窓のことです。屋根面に設けられた窓で、明かりとりの役割をします。
トップライトは、立地条件などによって採光に課題がある場合や、暗くなりがちな北側や廊下などに設けることで、採光が可能となります。上から光を取り込むため、壁側の窓より採光効果が大きいのが特徴です。建築基準法では、壁面の窓に比べてトップライトは約3倍の採光効果があると規定されています。また、室内の広い範囲に自然光が届くのも利点です。
トップライトには、固定式と開閉式があり、開閉は手動式と電動式があります。開閉できるタイプでは通風による省エネ効果も期待できます。
ただし、トップライトを設置するには、雨の降りこみや結露対策、断熱性能などに注意が必要です。
リビング
リビングとは、居間のことです。Living-roomのことで、家族だんらんのスペースになります。
かつての日本家屋では、「茶の間」と呼ばれた空間です。家族が一緒に寛ぎ、コミュニケーションの中心になる場所なので、家づくりや物件購入で重要視されます。
マンションではダイニングと一体となったLDや、キッチン・ダイニング・リビングが一体となったLDKが主流です。コミュニケーション重視かプライバシー重視か、居住空間が縦長か横長かなどでリビングの配置は違ってきます。リビングを通らずに各居室に出入りできるタイプや、あえてリビングインとしてLDから個室に出入りするタイプもあります。また、ゆっくりと眺望を楽しめる工夫なども施されます。
家で過ごす時間を考慮して、ライフスタイルに合ったリビングの広さや形状を決めるといいでしょう。
ルーバー
ルーバーとは、よろい戸のことです。がらり戸ともいいます。
羽板(はいた)を水平に組んだもので、雨戸や目隠しとして使われます。細長い羽板を一定間隔で並べてあり、羽板の角度を調整することで、採光や換気ができます。外部からの視界を遮りながら、通風、採光、日除け、調光などが可能です。羽板を閉じることで、風雨やほこりから窓を守り、防犯にもなります。また、ビルなどで外観デザインの一部として採用する場合もあります。
ルーバーの素材には、アルミ系、木材系、プラスチック系、木質樹脂系、ガラス系などがあり、設置場所に応じて選択できます。1階の部屋や浴室、トイレなどに防犯と目隠しを兼ねて採用されることが多く、既存窓に外付けできるものもあります。また、防音機能をもったルーバーなども登場しています。
上げ下げ窓
上げ下げ窓とは、ガラス戸が上下にスライドすることで開閉する窓で、上下とも動く両上げ下げ窓(ダブルハング)と、片方だけ動く片上げ下げ窓(シングルハング)があります。
上げ下げ窓は縦に長いため、壁の面積が狭くて窓を設置しにくい場所でも、場所を取らずに通風や採光を確保することができます。
上げ下げ窓の特徴は、バランサーという金具が窓枠に内蔵されていることで、ガラス窓が重力で落下することなく、好きな位置で止められることです。両上げ下げ窓では上下の窓がワイヤーでつながり、双方がバランサーの役目を果たします。
また、引き戸と違って戸車がないので気密性が高く、寒冷地などに適しています。
回転窓
回転窓とは、窓枠の中の軸を中心に回転させる窓のことです。北欧の住宅によく見られる窓です。
回転窓には、横軸を中心に上下に回転させるものと、縦軸を中心に左右に回転させるものがあります。また、軸を窓枠の真ん中に置くものと、どちらかに偏らせてスイングするものがあります。
回転窓の特徴は、小さなスペースにも設置しやすいこと、戸車がないため気密性に優れること、ガラスの両面を掃除しやすいこと、開口部を狭くしながら通風が図れることなどがあります。窓を開けても人の出入りが困難なことから、高層ビルや防犯面を考慮して採用されることもあります。
採光
採光とは、自然の光を窓などから室内に取り入れることをいいます。建築基準法では、住宅の居室について、居室の床面積の1/7以上の採光に有効な開口部の面積が必要と規定されています。ただし、「採光」とは直射日光のことではないので、北側の窓が「採光に有効な窓」となる場合もあります。有効な採光面積は、用途地域や部屋の大きさ、窓の大きさによって決定されます。ただし、納戸やトイレ、浴室、洗面室などは対象となりません。
隣家が迫っている住宅密集地などでは、採光を確保するために、天窓やライトコートを設けるなど、さまざまな工夫が見られます。また、日当たりを調節するには、カーテンやブラインド、反射ガラスなどを利用します。
出窓
出窓とは、外壁の壁面より外に張り出した窓のことです。洋風建築では、出窓を取り入れて室内空間をデザインすることが多いようです。
出窓は、部屋を広く見せる、おしゃれな雰囲気になるといった効果があります。出窓の種類には、台形出窓、角型出窓、弓型をしたボウウインドウなどがあります。また、窓の開き方によって、引き違い窓、両脇滑り出し窓、はめ殺し窓などがあり、設置される場所によって、キッチン出窓、浴室出窓、和室用出窓などがあります。
なお、建築基準法では、外壁から張り出した部分が50cm以内、床面から窓の下までの高さが30cm以上、窓の幅(見付け面積)が出窓全体の1/2以上、の条件を満たしていれば、床面積には算入されません。
出窓を設置する場合の注意点としては、結露や防犯上の対策です。出窓は結露しやすいため、断熱性の高い製品を選ぶことも大切です。また、シャッターや格子をつけるなど、防犯面の考慮も必要です。
掃き出し窓
掃き出し窓とは、床面から立ち上がる引き戸をいいます。掃除機がない時代に、ほうきで掃いて、窓からゴミを庭などに掃き出したことから、掃き出し窓と呼ばれました。現在では、窓の下が床まである背の高い引き戸を指し、バルコニーに面したリビングなどに設けられる大きな窓を指すことが多いようです。
掃き出し窓からは外に出られることが多く、床とバルコニーに段差がないものも増えています。ただし、この場合には、外からの雨水が入り込まない対策が必要です。
広い掃き出し窓には、採光や通風を十分確保できる利点があります。その半面、壁面が少なくなると、家具などを置きにくくなります。また、掃き出し窓が広いと、冷暖房効率が悪くなりがちですが、複層ガラスの採用などで断熱性を確保することも可能です。
開口部
開口部とは、建物の壁などに設けられた窓や出入口など屋外や室外に向かって開かれた部分です。リビングや居室の窓、天窓、玄関や室内ドアなどをいいます。
開口部は、採光、換気、通風、眺望、通行などの役割があります。床面積に対して一定以上の開口部がなければ、居室と呼べません。
開口部の位置や広さは、建築物の躯体強度に影響するほか、通風や採光などの居住空間の快適性や断熱性なども左右します。また、リビングに大きな窓を設けて眺望を楽しんだり、隣家との距離や視線を考慮して開口部の位置や高さを工夫するなど、室内からの視界、外部からの視線なども考慮することが大切です。
また、出入口として使用する開口部は、開閉に必要なスペースや開閉時の安全性なども考慮されます。