筋交い
すじかい
筋交いとは、建物の構造を補強するために斜めに入れる部材です。
筋交いとは、建物の構造を補強するために、
柱と
柱の間に斜めに入れる部材のことです。
木造軸組工法などで、耐震性や耐風性を強めるために用いられます。
木造軸組工法や鉄骨構造のように、
柱と
梁を基本として建物を支える構造では、
柱と
梁で形づくる長方形によって点と線で建物を支えます。しかし、この長方形の接合部分に強度が十分でなければ、地震や強風などによって横からの力(水平力)受けたときに、長方形がひし形に変形してしまいます。そこで長方形の対角線に筋交いを入れて、水平力に対抗して変形を防止します。
鉄骨造では「ブレース」と呼びます。
筋交いは、圧縮する力と引っ張る力に耐える役割があります。長方形に対して斜めに1本だけ筋交いを入れる場合を「シングル」、2本交差させるものを「ダブル」または「たすきがけ」と呼びますが、「たすきがけ」のほうが強度はあります。ただし、
柱や
梁に十分な太さと強度がある場合や、
2X4工法などで壁面全体で支える場合には、筋交いは不要になります。また、筋交いによる補強は、
柱や
梁と強固に固定されていることが重要です。
2X4工法
2X4工法とは、北米で開発された工法で、建物を四方の壁と床、天井の6面で支える工法です。規格化された構造用製材の枠組みに、構造用合板のパネルで壁・床・天井を構成します。枠組壁工法とも呼ばれます。多く用いられる製材が2インチX4インチであることから、2X4工法と呼ばれます。中心となる規格材には、他に2X6材、2X8材、2X10材、2X12材、4X4材などがあり、2X6材を多く使用するものは2X6工法とも呼ばれます。
2X4工法は、面と線により6面体で建物を支えるので、耐久性、耐震性、断熱性に優れています。その半面、壁が多く、窓など開口部が制限されます。また、資材が工場生産された規格品であるため、ローコストで安定した品質が確保され、工期も比較的短いという利点があります。
鉄骨造
鉄骨造とは、建築物の骨組みに鋼材を用いて組み立てる構造です。S造(Steel)ともいわれますが、現在では鉄ではなく強靭な鋼を用いるので、鋼構造とも呼ばれます。
鉄骨造には、重量鉄骨造と軽量鉄骨造があります。重量鉄骨は厚さ6mm以上の鋼材を使用し、柱と梁を強固に接合(剛接合)したラーメン構造が一般的です。重量鉄骨では主に柱と梁で建物を支えるため、筋交いをなくすこともでき、広い空間を作るなど間取りの自由度が高まります。軽量鉄骨造は工場生産された軽量鉄骨を現場で組み合わせるプレハブ工法で造られ、品質が安定し、コストも安く済みます。
鉄骨造は強度に優れますが、鉄骨自体は耐火性が低い(火事など高温で急激に強度が失われる)ため、通常は鉄骨の周りに耐火被覆が施されます。また、木造に比べて断熱性も低いため、外断熱などの対策も必要となります。
柱
柱とは、建物の軸組みで、土台に対して垂直に立てて、屋根や床の荷重を土台や基礎に伝えるものです。木造軸組工法やラーメン構造では、梁などとともに建物を支える最も重要な部材です。
柱の太さは、柱の位置や部屋の大きさ、支える重さによって決めます。木造2階建て以上の場合には、土台から軒まで通った継ぎ目のない「通し柱」が建物の四隅に使われます。「通し柱」は、上下階を構造的に一体化させて耐震性を高めるために重要なものです。各階ごとに梁や胴差しなどで区切られた柱を、「管柱(くだばしら)」といいます。「管柱」も各階の荷重を受ける構造体です。このほか、柱と柱の間に壁の補強のために入れる柱を「間柱(まばしら)」と呼びます。また、壁に取り付けた装飾用の柱を「付け柱」といいます。
梁
梁とは、建築物の骨組みのなかで、建物に対して水平方向に渡し、屋根や床など建物の上からの荷重を柱に伝えて建物を支える部材をいいます。柱と連結して支える梁を「大梁」、柱に直接つながっていない梁を「小梁」といいます。元来は、屋根の棟木(むなぎ)に対して直角に渡したものを梁と呼び、水平に渡したものは桁(けた)と呼んでいました。そのため、棟木と水平方向の建物の奥行きを梁方向、直角に交わる方向を桁方向といいます。また、屋根を支える梁を小屋梁(こやばり)、床を支える梁を床梁(ゆかばり)と呼びます。
木造建築では、梁には松や米松、杉などが使われます。また、「現し」といって、梁を露出させて意匠を施すものもあります。
木造軸組工法
木造軸組工法とは、木材の柱、梁、土台、筋交いなど軸を組み立てて建物を支える工法です。古来日本に伝わる高い建築技術で、「木造在来工法」「在来工法」「木造軸組」などと呼ばれます。
その特徴は、柱や梁などの線で支えるため、間取りの自由度が高く、広い開口部がつくれることです。また、増改築なども容易で、日本における木造建築の主流といえる工法です。
ただし、職人の技術水準や経験などによって施工レベルに差が出やすく、熟練を要する工法でもあります。使用する木材の太さや質、材と材の接合技術などによって、地震や台風にも耐える丈夫さが異なってきます。近年では、使用する木材を規格化したり、材の接合部に多様な金具を用いて安定させるなどの工夫が施され、施工者の技能による品質のバラツキを防ぐ方法に進んでいます。