不燃材料
ふねんざいりょう
不燃材料とは、不燃性能について認定を受けた建築材料です。
不燃材料とは、不燃性能について国土交通大臣が認定しているものです。
建築基準法では火災に備えて防火材料の規定を定めています。防火材料は、「不燃材料」「
準不燃材料」「
難燃材料」の3つのグレードがあります。そのうち「不燃材料」は、通常の火災によって、加熱が始まってから20分以上は燃焼しないこと、内部仕上げは、避難にあたって有害なガスや煙を発生しないことが要件となっています。
不燃材料の認定には、不燃性試験または発熱性試験に合格する必要があります。
不燃材料には、コンクリート、れんが、瓦、陶磁器製タイル、繊維強化セメント板、厚さ3mm以上のガラス繊維混入セメント板、厚さ5mm以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板、鉄鋼、アルミニウム、金属板、ガラス、
モルタル、
漆喰(しっくい)、石、厚さ12mm以上の
石膏ボード、ロックウール、
グラスウール板が挙げられます。
防火地域や
準防火地域、建築物の規模や使用目的によって、
屋根や外壁などに不燃材料の使用が義務付けられています。
グラスウール
グラスウールとは、ガラス原料を溶解し、遠心力を使ってミクロン(1000分の1ミリ)単位の細い繊維にしたものです。グラスウールは、不燃性、断熱性、耐久性、吸音性、防振性などに優れ、住宅建材や工業用など幅広い用途に使われています。
住宅建材として、断熱材や保温材、防音材などのほか、給排水管や冷温水管などのパイプやダクトなどの保温・保冷・吸音にも用いられます。グラスウールは不燃材料で、火災によって燃えたり、有毒ガスが発生する心配もありません。そのため、壁や床、屋根などに一定基準以上のグラスウールを使用した住宅について、国土交通省は「準耐火構造」「防火構造」「準防火構造」として告示しています。
また、ガラス繊維のため、腐ったり虫が食ったりせず、軽くて施工しやすいのも特徴です。結露防止効果も高く、省エネ対策として多用されている建材です。
建築基準法
建築基準法とは、建物を建てるときの基本的な法律です。建築物の敷地・構造・設備・用途の最低基準を示し、用途地域や日影規制などエリアによって守るべき事項などが定められています。建物の利用者や近隣住民の生命・健康・財産を守ることを目的に、1950年に施行されました。基準の具体的な技術水準などは、建築基準施行令や施行規則などで詳細が規定されています。また、基準が実効性をもつように、着工前の建築確認や工事中の中間検査、完了検査、違法建築物の是正措置なども定められています。
建築基準法はこれまでに何度も改定を重ねています。1981年には現在の耐震基準が導入、2003年にはシックハウス対策の規定導入、2007年には耐震偽装事件を受けて建築確認審査の厳格化が図られました。中古マンションを選ぶ際には、いつ建てられたかによって基準が異なるため、築年は大まかな安全性を見るときの一つの目安にもなります。
漆喰
漆喰とは、消石灰に糊や繊維(おもに刻んだ麻などの植物繊維)を加え、水とともに練り込んだものです。防火性や調湿性が高く、古くから建築材として利用されてきました。日本では寺院や蔵などに使用され、伝統的な木造建築の内外装の仕上げ材として使用されます。漆喰を用いた壁を漆喰壁と呼び、コテなどで塗りつけます。
消石灰は、石灰石(生物を起源とする鉱物)を高温で焼成し、水と作用させて精製します。漆喰壁は、主成分の消石灰が空気中の炭酸ガスを取り込んで硬化(炭酸化)します。漆喰壁はVOC(揮発性有機化合物)の心配が少なく、防カビ効果やニオイを吸収する効果も期待できます。
漆喰壁は、伝統的な白を基調としながらも、現在では多彩な色彩がラインナップされています。
準防火地域
準防火地域とは、都市計画法で指定された地域の一つです。市街地における火災の危険を防ぐために、防火地域に準じて、建物の構造などを規制しています。地階を除く階数が4階建て以上または延べ床面積が1,500m2を超える建物は、耐火構造としなければなりません。延べ床面積が500m2超1,500m2以下の建物は、耐火構造または準耐火構造にしなければなりません。3階建ての建物は、耐火構造、準耐火構造または外壁や軒裏を防火構造にするなどの一定の技術基準に適合する必要があります。通常の木造平屋建てや木造2階建ては建築できます。
石膏ボード
石膏ボードは、焼き石膏に軽量材を混ぜて加圧形成し、その両面をボード用原紙で被覆して板状態にしたものです。プラスターボード(Plaster Board)ともいいます。
石膏ボードは、耐火性、断熱性、遮音性、加工性に優れ、また、芯材の石膏が熱や湿気による収縮性が少ないために寸法変化がほとんどないなどの特性があります。軽量でコストパフォーマンスもよく、壁や天井などの下地に使用されます。
用途によって、化粧石膏ボード、耐水・防火石膏ボードなどがあり、また、構造材として準耐火構造に対応する強化石膏ボード、防湿ボード、防音ボードなど機能が付加されています。
防火地域
防火地域とは、都市計画法によって指定された地域の一つです。市街地における火災の危険を防ぐために、建物の構造などを規制しています。基本的には建物は耐火構造にする必要があります。2階建て以下で延べ床面積が100m2以下の建物は、耐火構造または準耐火構造にしなければならないと定められています。また、高さ3mを超える看板や広告塔、建物の屋上に設けるものは、主要構造部分を不燃材料で造るか覆う必要があります。
防火地域に指定されるのは、主として市街地の中心部や幹線道路です。従来型の木造住宅のなかには耐火構造・準耐火構造に対応していないものもあり、その建築物は防火地域には建てられません。
モルタル
モルタルは、セメントと砂、水を練り上げた建築材料です。耐火性があり、外壁などに使用されます。コンクリートが砂とセメントに砂利を混ぜるのに対して、モルタルは砂利が入っていません。モルタルはコンクリートほどの強度はなく、高価で、施工には熟練した技術が必要で、施工期間も長くなります。通常は、現場で材料を練り合わせて塗っていきます。手塗りのため継ぎ目がなく、外壁の王道として広く採用されてきました。一般的には、モルタルは二度塗りされ、その上に塗装などが施されます。一定以上の厚さによって、防火構造に適用できます。
モルタルの欠点は、経年変化によってクラックと呼ばれるひび割れが発生することです。これは、建物自体に生じる歪みや材料の乾燥などによるものです。ひび割れ防止の添加剤などによって改善はされていますが、ひび割れを生じなくすることは困難です。ひび割れや塗装の劣化具合により、メンテナンスが必要となります。
屋根
屋根とは、風雨や日射から建物を守るために、建築物を覆うように設けられた構造物です。気候や風土によって特徴があり、形状や屋根材の種類もさまざまです。
屋根の形状および屋根材を決めるうえで、基本として求められるのが、耐震性、防水性、防火性、耐久性、断熱性などです。特に木造住宅の場合には、屋根材の重量によって、耐震性を確保するために構造上、壁の量を増やす必要などもあります。また、素材によって雨漏りを起こさないための屋根の勾配も規定されます。
屋根の形状には、切妻(きりづま)、寄棟(よせむね)、陸屋根(りくやね)、片流れ(かたながれ)、入母屋(いりもや)、方形(ほうぎょう)、鋸屋根(のこぎりやね)、バタフライなどがあります。
屋根材には、瓦などの粘土系、セメントなどを加工した化粧スレート、石を板状にした天然スレート、金属系のガルバリウム鋼板、銅板などがあります。
準不燃材料
準不燃材料とは、不燃性能についての技術水準を国土交通大臣が認定しているものです。建築基準法では火災に備えて防火材料の規定を定めています。防火材料は、「不燃材料」「準不燃材料」「難燃材料」の3つのグレードがあります。そのうち「準不燃材料」は、「不燃材料」に準じる性能をもつもので、通常の火災によって、加熱が始まってから10分以上燃焼しないことが要件です。また、外部仕上げは、変形・溶融・亀裂がおきないこと、内部仕上げは、避難にあたって有害なガスや煙を発生しないことが要件となっています。
不燃材料には、厚さ9mm以上の石膏ボード、厚さ15mm以上の木毛セメント板、厚さ9mm以上の硬質木片セメント板、厚さ30mm以上の木片セメント板、厚さ6mm以上のパルプセメント板などがあります。
なお、住宅のキッチンや浴室などの内装仕上げには、不燃材料または準不燃材料を使用しなければなりません。
難燃材料
難燃材料とは、難燃性プラスチックや難燃性合板など、燃えにくい建築材料のことです。
難燃材料とは、不燃性能についての技術水準を国土交通大臣が認定しているものです。建築基準法では火災に備えて防火材料の規定を定めています。防火材料は、「不燃材料」「準不燃材料」「難燃材料」の3つのグレードがあります。そのうち「難燃材料」は、通常の火災によって、加熱が始まってから5分以上燃焼しないこと、避難にあたって有害なガスや煙を発生しないことが要件となっています。
難燃材料には、厚さ5.5mm以上の難燃合板や厚さ7mm以上の石膏ボードが挙げられます。ほかに、紙・木材・ゴム・プラスチック・繊維などの可燃性の素材に難燃剤を添加した多種多様な建材があります。
なお、難燃剤の健康に及ぼす影響が指摘されていますが、安全性を検証している難燃剤もあるようです。