接道義務
せつどうぎむ
接道義務とは、都市計画区域内などに建物を建てるときは、敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接していなければいけないというものです。
接道義務とは、
都市計画区域および準
都市計画区域内に建築物を建てるときは、その
敷地は、幅員4m(特定行政庁が必要と指定する区域内では6m)以上の道路に、2m以上接していなければならないと、
建築基準法で義務付けられているものです。
この場合の道路とは、
公道または特定行政庁から位置の指定を受けた私道「
位置指定道路」などで幅員4m以上のもののほか、幅員4m未満の道で特定行政庁が指定した「みなし道路」などをいいます。「みなし道路」の場合には、
敷地境界線から建築物を後退させて建てる「
セットバック」が必要となります。
なお、中古物件などの不動産広告で接道義務違反の土地は、「
再建築不可」または「建築不可」と表示しなければなりません。
位置指定道路
位置指定道路とは、分譲地の開発などで新たに設ける幅員4m以上の道路で、特定行政庁からその位置の指定を受けたものです。道路法や都市計画法、土地区画整理法などによる道路ではなく、一般的には私道として建設されます。
指定基準となる技術水準などの条件は、自治体によって多少の違いがあります。おもな基準としては、原則として、私道の両端が他の道路に接続している通り抜け道路であること、交差部や屈曲部などには有効な「隅切り」を設けること、道路は砂利敷などでぬかるみにならない構造であること、勾配が12%以下で階段状でないこと、排水に必要な側溝を設けること、などとなっています。行き止まり道路の場合には、道路の長さや幅員などに一定の条件が設けられています。
なお、古い分譲地などで、申請内容と現状に食い違いが生じているケースもあるので、注意が必要です。
建築基準法
建築基準法とは、建物を建てるときの基本的な法律です。建築物の敷地・構造・設備・用途の最低基準を示し、用途地域や日影規制などエリアによって守るべき事項などが定められています。建物の利用者や近隣住民の生命・健康・財産を守ることを目的に、1950年に施行されました。基準の具体的な技術水準などは、建築基準施行令や施行規則などで詳細が規定されています。また、基準が実効性をもつように、着工前の建築確認や工事中の中間検査、完了検査、違法建築物の是正措置なども定められています。
建築基準法はこれまでに何度も改定を重ねています。1981年には現在の耐震基準が導入、2003年にはシックハウス対策の規定導入、2007年には耐震偽装事件を受けて建築確認審査の厳格化が図られました。中古マンションを選ぶ際には、いつ建てられたかによって基準が異なるため、築年は大まかな安全性を見るときの一つの目安にもなります。
セットバック
セットバックとは、都市計画区域内で建物を建てるときに、道路の境界線から一定の距離だけ後退させるとことです。建築物の敷地は、原則として幅員4m以上の道路に間口2m以上接道していなければなりませんが、幅員4mに満たない道路は「みなし道路」または「2項道路」と呼ばれて、道路の中心線から一定距離だけ建物を後退させることで、将来的に4mの道路幅を確保しようというものです。
前面の道路が4m未満の場合、建物を建てるときは、道路の中心線から2m以上後退させます。また、道路の反対側が川や崖の場合には、向かい側の道路境界線から4m後退させます。特定行政庁によって最低幅員6mと指定された道路では、中心から3m後退させます。
セットバック部分は、建物も、門や塀も立てられません。また、建ぺい率や容積率の算出にはセットバック部分は除く必要があります。なお、不動産広告などで「SB」と表記されることがあります。「SB済み」とか「セットバック○○m2要」などと表示されます。
都市計画
都市計画とは、都市の健全な発展と自然環境の調和などにより、健康で文化的な都市空間を整備するための総合的な街づくりの計画です。都市計画法の規定による法的な規制力があり、秩序ある整備を図るための土地利用や都市施設の整備、市街地開発事業などが定められます。
都市計画を定める場所を都市計画区域と呼び、一定の開発行為を行う場合には都道府県知事の許可が必要となるなど、規制がかかります。
都市計画には、市街化区域と市街化調整区域の区分、地域地区、促進区域、遊休土地転換利用促進地区、被災市街地復興促進地域、都市施設、市街地開発事業、都市計画区域のマスタープラン、都市再開発方針等、市街地開発事業等予定区域、地区計画等があります。
境界
境界とは、登記された土地の地番と地番の境界をいいます。地番は1区画ごとに一筆としてつけられ、この一筆ごとの土地の境が境界となります。
境界は塀や垣根によって仕切られていることがありますが、目印が明確になっていないとトラブルの原因となりかねません。トラブルを防止する上で、境界の位置関係を明確にすることは大変重要です。
不動産登記法では、土地の分筆の登記の申請などの際には、地積測量図の図面上に位置関係を示す境界標を表示することとなっています。境界標には、木の杭や自然の立木などもありますが、腐食や動いてしまう可能性があるものは適当ではありません。境界石やコンクリート標などの永続性のある境界標を埋設するのが望ましいといえます。
境界標を設置する場合には、測量の専門家である土地家屋調査士などに依頼するのがいいでしょう。
公道
公道とは、国や地方自治体など公的主体が管理している道路のことです。道路法で定める高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道などです。また、農道や林道も公的な保護や助成が受けられる半面、所有者による自由な処分はできず、公道としての性格が強いものです。公道の交通に対しては、道路交通法が適用されます。
建築基準法で道路という場合には、「幅員4m以上のもの」と規定されており、公道か私道かにかかわらず、接道義務がクリアされていれば問題はありません。
なお、公道であれば道路の補修など維持管理を公的に行ってくれるので、私道を寄付して公道に移管しようとするケースがありますが、実際には予算の関係などから、なかなか寄付を受けつけないようです。小規模な開発地などで、袋上の前面道路が私道になって、何軒かで私道負担している場合があります。私道であっても公衆用の道路として維持管理されていれば問題ありませんが、凸凹のままなど維持管理状態が悪いものもあります。現地見学では、維持管理の方法や費用負担について、確認しておきましょう。
再建築不可
再建築不可とは、既存の建物で、建て替えや増改築ができないものです。
例えば、市街化調整区域の土地、建築基準法の接道義務に違反している(4m以上の道路に間口2m以上接していない)土地、あるいは法律の施行以前に建てられた「既存不適格建築物」などが該当します。
このような土地の売買やすでに立っている建物に住むこと、および耐震工事など一定以内のリフォームをして住むことは可能です。しかし、建て直したり、増築や構造的なリフォームは認められません。
不動産の広告や重要事項説明書には、「再建築不可」と明記することが義務付けられています。
敷地
敷地とは、建物が立っているか、これから建物を建てる土地のことです。敷地面積は、その土地の面積のことで、水平投影面積をいいます。水平投影面積とは、土地や建物を真上から見たときの面積で、傾斜や凹凸があっても、水平として測定した面積になります。
敷地面積には、登記簿に記載された登記簿面積(地積)と実測面積が異なっている場合があります。そのため、土地の売買契約などにおいては、土地家屋調査士などの専門家による実測をしてからというのが鉄則です。
なお、住宅を建てるために土地を購入するときには、接道条件などによっては、土地面積の一部が敷地面積に算入できないので、注意が必要です。また、敷地面積だけでなく、建物の配置や駐車場のスペースなども考慮しましょう。