共用部分
きょうようぶぶん
共用部分とは、マンションなどの区分所有権建物で、専有部分以外のすべての部分です。
共用部分とは、マンションやオフィスビルなどの
区分所有権建物で、区分所有者全員のための施設や付属部分のことです。専有部分以外のすべてが共用部分として扱われます。
具体的には、
エントランス、共用廊下、階段、エレベーターホール、機械室、
駐車場など専有部分に属さない建物のほか、
メーターボックスや
バルコニー、内外壁、床
スラブ、パイプスペースなども共用部分として扱います。また、建物に付属するエレベーター設備、電気設備、給排水設備、インターネット通信設備、
宅配ボックスなど、専有部分に属さない付属設備は共用部分となります。そのほか、管理人室や集会室など、性質上共用部分とみなされるもの、規約によって共用部分とされる部分などです。
共用部分は、
区分所有権者全員で
所有権を共有します。
エントランス
エントランスとは、正面玄関に面した建物の出入口をいいます。最初に人を迎え入れる所で、建物の顔ともいえる空間です。一戸建てでは、エントランスポールや外灯、郵便ポストなどが設けられ、家人や来客を迎えるための装飾や防犯対策が施されます。マンションでは、広い「エントランスホール」を設けて、建物の個性やステイタスを演出している例もあります。来客の応接スペースや住民間のコミュニティスペースが設けられているものもあります。また、宅配ボックスや管理人室、クロークなども置かれます。また、不審者の侵入をシャットアウトするための防犯対策なども施されます。
スラブ
スラブとは、本来は「石板」を意味します。鉄筋コンクリートのマンションでは、床の加重を支えるコンクリートの床板を床スラブといいます。屋根を構成する板は、屋根スラブといいます。
スラブは大梁や小梁と一体化して成型されます。一般的にスラブが厚いほど遮音性が高いといわれています。最近のマンションでは200mm以上が大半で、250~300mmの厚さを持たせているものもあります。また、梁で囲まれたスラブの広さをスラブ面積といい、スラブ面積が小さいほど床がたわんだりすることに対抗できる力(剛性)が強くなり、重量衝撃音(床を走る音など)が響きにくくなります。
宅配ボックス
宅配ボックスとは、不在時にも宅配便を受け取れる設備です。宅配ロッカーとも呼ばれます。
24時間いつでも受け取れる利便性があり、分譲マンションなどで広く普及しています。不在時には荷物はロッカーに預けられ、住民は郵便受けに不在配達表を確認すると、キーや暗証番号などを操作して自分の荷物を受け取ります。
宅配ボックスのなかには、荷物を受け取るだけでなく、荷物の発送、クリーニングの注文と受け取りなど、コンシェルジュ機能が充実したものも登場しています。また、防犯性の高いものや、子どもが閉じ込められないように配慮するなど、技術面でも向上がみられます。
駐車場
駐車場とは、自動車の駐車のための施設です。
車の所有には駐車場があることが義務付けられており、自宅から2km以内に駐車場がなければ書庫証明が取れません。
一戸建ての場合には、駐車場は設備の種類により、車庫、カーポート、カースペースなどがあります。マンションなどの場合には、設備によって平置き駐車場、自走式駐車場、機械式駐車場などがあります。都心部のマンションには総戸数に対する駐車可能台数が少ないものがあり、管理組合との間で期間を決めて賃貸するのが一般的です。
なお、最近ではカーシェアリングなどによって駐車場確保の問題や車の維持管理コストの削減、省エネなどに対応する動きもあります。
バルコニー
バルコニーとは、マンションなどの屋外に張り出した床のことです。
室内空間の延長として、掃き出し窓などの先に設けられ、屋根や天井はなく、手すりが付いています。上階のバルコニーが屋根の代わりになります。バルコニーは広さや用途によって、アウトドアリビングとして活用できる「リビングバルコニー」や、コンパクトで室外機置場やゴミ置場などに利用される「サービスバルコニー」などがあります。また、階下の屋根を利用した広い「ルーフバルコニー」もあります。
分譲マンションの場合、バルコニーは共用部分に属します。居住者だけが使用できる専用使用権はありますが、改造したり、物置などの固定物を設置することはできません。バルコニーは消防法で、緊急時の避難通路とされています。そのため、避難時の障害にならないように管理規約等にはバルコニーの使用制限が定められています。
所有権
所有権とは、特定の物を自由に使用、収益および処分できる権利です。所有権を持つ人は、その所有物に対して独占的に支配できます。所有権は時効によって消滅することはありません。
ただし、自由にできる権利は、法令上の制限の範囲内です。また、公共の福祉に反する権利は認められていないため、一定の制限を受けます。
また、所有権を有する物件について、所有者以外の人が抵当権や借地権を設定している場合には、その制限を受けます。
メーターボックス
メーターボックスとは、電気、ガス、水道のメーターを集めて収納した場所をいいます。
メーターボックスは、定期的に点検や検針が行われるため、不在時でもチェックできるように玄関脇などの外部に設置されています。
マンションでは、共用部分となります。間取図には「mB」などと表示されます。
メーターボックスは電力会社やガス会社の人が検針にくることを前提としているため、物置代わりに私物を置いたり、工作物を設けることはできません。また、メーターボックスに鍵を隠すのは、防犯上大変危険だといわれています。
区分所有権
区分所有権とは、マンションやオフィスビルなどで、1棟の建物の中に独立した複数の住居や店舗、事務所などがあるものについて、その独立した部分を所有する権利のことです。
独立した各部分は「専有部分」と呼ばれ、購入者が自由に使用し、また、売却や譲渡もできます。これに対して、エントランスやエレベーター、共用廊下など、建物内の専有部分以外を「共用部分」と呼びます。共用部分については、専有部分の床面積(専有面積)の割合(持ち分)に応じて、所有権を共有します。同様に、敷地についても、持分に応じて、所有権を共有します。
マンションでは、専有部分の区分所有権と共用部分の共有持分、敷地の共有持分の3つの権利を有することになります。区分所有権を売却すると、共有持分も一緒に売却することになります。