敷引金
しきびききん
敷引金とは、敷金の返却時に割り引かれる費用です。
敷引金とは、入居時に預けた
敷金や保証金から、
原状回復費用として退去時に差し引かれるもので、関西などで多くみられる商習慣です。
関東の場合は
敷金・
礼金が一般的ですが、関西では「保証金」「敷引金」の形が多く、保証金の相場が家賃の6~8ヶ月で、そのうち半分相当が敷引金として償却される場合もあります。
関東出身者が関西で住宅を借りた場合、習慣の違いからトラブルとなることもあります。金額が大きいため、保証金と敷引金がどうなっているのか、仲介会社などにきちんと確認しましょう。なお、最近では関西でも
礼金・
敷金を採用している物件もあるようです。
敷金
部屋を借りる際に、借り手が家主に預けるお金で、家賃の不払いや部屋の破損などに備えるためのものです。賃貸借契約時に支払われ、契約が終了して退室した後に、家賃の滞納や修理が必要な設備等がなければ無利息で全額返還されます。
敷金の相場は1~3ヶ月が一般的ですが、敷金0といった物件もあります。このほか、権利金や保証金などが授受される場合もあります。
借り手は、普通に使用した場合の経年変化について改修費用を負担する義務はありませんが、一定割合を償却費として差し引くことが慣行になっているケースもあります。後々のトラブルを防ぐうえでは、賃貸借契約時に敷金の償却について契約内容を確認し、入居前の室内状況について写真などで記録しておくことが賢明です。
礼金
礼金とは、賃貸住宅を借りる際に、借り手が貸主に支払う一時金の一つです。敷金と異なり、退去時に返却されるものではありません。
法的には根拠はなく、慣行として行われてきたものです。かつて貸手市場だったときに、文字通り家主への「お礼」の意味で支払われたものといえます。
現在でも、賃料の1~2ヶ月分を礼金として設定している物件は多いようですが、礼金ゼロの物件も見られます。賃貸物件の空室率を下げるために、魅力ある物件にすることと並んで、入居者の初期費用を低減する工夫の一つとして、礼金ゼロ物件や、敷金ゼロ物件、仲介手数料無料などの物件も出ています。
原状回復
原状回復とは、賃貸住宅を退去するときに、借主が設置した造作物(棚など)を取り除き、入居時のような状態に戻すことをいいます。ただし、経年変化による価値の低下を修復するものではありません。
原状回復をめぐっては、修繕費のどこまでを借主が負担すべきか、トラブルが少なくありません。建物は通常に使用していれば、一定の経年変化による価値の低下は避けられません。そのため、国土交通省では、原状回復についてガイドラインを定め、原状回復とは「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義しています。すなわち、借主が通常の使用を超えて故意や過失によって汚したり壊したりしたものについては、借主が修理費を負担することとなります。
なお、原状回復については、契約時に特約をつけることがありますが、裁判によると、特約があるからといって、必ずしも借主に費用負担義務があるわけではないといった判例もあります。