価格査定
かかくさてい
価格査定とは、売却依頼物件について、成約見込価格を算出することです。
価格査定とは、土地や一戸建て、マンションなどの不動産物件を売却する際に、いくらで売れるか、売却時の適正価格を算出することです。依頼を受けた不動産会社などが、専門的な知識や
価格査定マニュアルに基づいて査定します。標準的なものとしては、(公財)不動産流通近代化センターが発行する「
価格査定マニュアル」があります。
不動産は、そもそも個別性が高いため、物件ごとに判断する必要があります。価格査定の基本的な方法としては、「
取引事例比較法」といって、近隣の類似した物件の取引事例と比べておおよその価格を算出します。比較する取引事例は、中古マンションであれば、
築年数や立地条件、マンションの規模などが類似したものが好ましい事例となります。選んだ取引事例と、階数、間取り、方位などを比較して、価格を調整します。土地であれば、土地の形・面積・方位・接道などの条件で価格を調整します。加えて、不動産価格は市場によって上下するため、取引事例と対象不動産の売却時の相場を比較して、さらに修正します。そのほか、日当たり、建物の使用状況、管理状況など、多くの評価項目を加味して査定されます。
価格査定マニュアル
価格査定マニュアルとは、公益財団法人不動産流通近代化センターが作成した、不動産の価格査定のための標準マニュアルです。
宅地建物取引業者が不動産の売却を依頼されると、その不動産について、専門的な観点から価格査定を行います。その際、「宅地建物取引業法」によって、査定価格の根拠を明示することが義務付けられています。この価格査定マニュアルは、その根拠を合理的に算出する方法を示すものです。
価格査定マニュアルには、戸建住宅・土地・マンションの3編があり、それぞれのソフトにパソコンで条件入力すると、結果が自動的に算出されます。土地およびマンションでは、「事例比較方式」によって、同じような取引事例を選び、交通利便性や周辺環境等の価格を形成するさまざまな項目について比較評価し、価格を算出します。戸建住宅の建物の評価は、同程度の新築価格から経過年数や維持管理の状況に応じて減額して算出します。
査定結果は、「査定報告書」などの形で提示されるので、どの箇所がどのように評価されているか、確認することが大切です。この査定価格を基に、市場動向や、売却を急いでいるかどうかなど、個別の状況を考慮して、売出価格を決めることになります。
取引事例比較法
取引事例比較法とは、類似した不動産の取引事例と比較することで、対象となる不動産の価格を試算することです。的確な試算を行うためには、取引事例を多く集める必要があります。
取引事例比較法では、対象不動産と条件が近い取引事例を選んで比較し、地域的要因(例えば、駅からの距離など)や個別的要因(例えば、日当たりや接道、室内の使用状況など)などに応じて事情補正を行います。加えて、不動産取引は市場動向の影響が大きいため、取引事例の価格を現時点の価格に修正必要があり、これを「時点修正」といいます。
取引事例は、近隣または同一需給圏内の類似地域にあるものから選択します。また、「知人に安く売った」ような特殊事例でないか、特殊事例であっても具体的な事情が判明していて補正可能なもの、できるだけ新しい事例であること、または、古い事例であっても価格変動が推定できるもの、などの条件があります。
取引事例比較法は、中古マンションや中古住宅の価格査定で一般的に用いられる方法です。取引事例比較法で求められた価格を、比準(ひじゅん)価格といいます。
築年数
築年数とは、建物が完成してから経過した年数です。建物が新しいか、古いかは、不動産において重要な要素であり、不動産広告では築年数の明記が義務付けられています。
ちなみに、不動産広告において「新築」という表記は、完成から1年以内でだれも入居したことがない場合に限定されます。
中古物件を購入する場合には、築年数は重要な判断要素となります。しかし、不動産の資産価値や住み心地は必ずしも築年数で決まるわけではありません。建築物の構造や強度、維持管理の状態によっても大きな違いが出てきます。築年数は一つの判断要素とし、現物をしっかりチェックすることが重要です。