住宅ローン控除
じゅうたくろーんこうじょ
住宅ローン控除とは、住宅ローンの残高に応じて所得税や住民税が控除されるものです。住宅ローン減税とも言われます。
住宅ローン減税制度は、
住宅ローンを借り入れてマイホームを新築・購入または増改築した場合に、所得税・住民税が控除される制度です。
毎年末の
住宅ローン残高の1%が10年間にわたり、所得税から控除されます。所得税から控除しきれない場合は、住民税からも一部減額されます。
対象となるのは、自ら居住する床面積が50m
2以上の住宅で、住宅の新築、新築・
中古住宅の取得、および一定規模の増築や
リフォームです。店舗併用住宅であっても、居住用がメインであれば居住部分が対象となります。
中古住宅は築20年以内などの要件があります。増築・
リフォームにも一定の要件があり、また、省エネや
バリアフリーの場合には、別の
リフォーム減税が有利な場合もあります。
ただし、年間に控除できる限度額があり、2014年3月までの最大限度額は200万円(
長期優良住宅・低炭素住宅は300万円)、2014年4月~2017年12月末までは400万円(同500万円)となり、所得税で控除しきれない残額は翌年度の個人住民税から減額(9万7500円が上限、2014年4月以降は13万6500円が上限)されます。
なお、
住宅ローン控除を受けるには
確定申告をする必要があります。また、合計所得金額が3000万円以下であることも要件です。申請は
住宅ローンを借りる個人単位で、世帯単位ではありません。夫婦で別の
住宅ローンを組んだ場合には、それぞれに申請できます。
住宅ローン減税制度は
消費税増税によって限度額が拡充されました。住宅取得者の金利負担軽減が目的ですが、納税額の多い人でないと恩恵が少ないことから、新たに「
すまい給付金」制度が導入されました。
確定申告
確定申告とは、自分で所得税額を計算して税務署に申告することです。
給与所得者の大半は、年末調整によって所得税が精算されるので申告は不要です。しかし、2か所以上から給与を受けている人や2000万円以上の収入がある人、あるいは年末調整で控除を受けていないものがある場合などには確定申告を行います。
住宅関係では、次のような控除を受けるためには確定申告が必要です。住宅ローン控除、住宅耐震工事特別控除、住宅特定改修特別税額控除(投資型減税:省エネリフォーム)、認定長期優良住宅・低炭素住宅新築等特別税額控除(投資型減税:長期優良住宅・低炭素住宅)など。
確定申告の受付期間は、毎年2月16日から3月15日(土日の場合は繰り下げ)です。還付申告(控除によって納付した所得税の一部が戻ってくる)は2月15日以前でも受け付けてくれます。また、電子申告は利用にあたって事前手続きが必要ですが、1月15日から3月15日まで送信可能です。
なお、確定申告には国税庁のホームページの「確定申告書等作成コーナー」を使うと便利です。税額などが自動計算され、振込先口座を指定すれば還付金が振り込まれます。
住宅ローン
住宅ローンとは、個人が住宅を購入・建築する資金として利用できる融資のことです。住宅ローンには、「銀行ローン」「フラット35」「財形住宅融資」などがあります。
民間金融機関による融資は、都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、ノンバンク、モーゲージバンクなどが取り扱っており、多彩な商品があるので選択肢は豊富です。金利も「変動型」「一定期間固定型」「全期間固定型」から選ぶことができます。「フラット35」は民間金融機関と住宅金融支援機構が提携している長期固定金利型住宅ローンです。また、職場で財形貯蓄を行っている人が受けられる「財形住宅融資」もあります。そのほか、共済組合や生保ローン、JAの組合員向けローンなど、様々なものがあります。売主が提携ローンを用意している場合もあります。
これらのローンの中から、自分が受けられるローンを把握し、無理のない返済計画を立てることが大切でしょう。住宅ローンは必ずしも一つにする必要はなく、変動型の銀行ローンとフラット35を組み合わせたり、夫婦で返済期間の異なるローンを組むことも可能です。たくさんの選択肢があるので、ファィナンシャルプランナーなどに相談しながら、自分たちに合うプランを選択するのが賢明です。
消費税
消費税とは、物やサービスを消費したときに払う税金です。間接税の一つで、税金を払うのは消費者ですが、納税するのはその税金を預かった事業者となります。
不動産の取引も消費税は発生しますが、課税対象になるものと、ならないものがあります。
住宅を購入した場合、建物には消費税がかかりますが、土地は非課税です。家屋を建築したり増築した場合には、建築費用に対して課税されます。
賃貸の場合は、住宅として使用される貸付は非課税です。事務所や店舗に使用される貸付は課税対象となります。また、駐車場は課税対象ですが、地面の整理や区画建物が設置されない状態で駐車スペースに使用している場合は、土地の貸し付けとみなされて非課税となります。
なお、消費税増税によって住宅取得者の負担が増大することへの対策として、住宅ローン減税や投資型減税の拡充、すまい給付金などの措置が講じられています。
すまい給付金
すまい給付金とは、消費税率引き上げによる住宅取得の負担を軽減するため、一定の収入以下の人を対象に現金を給付する制度です。
実施期間は2014年4月1日~2017年12月末で、消費税率が8%の場合と10%の場合で、それぞれ対象となる収入の目安と給付額が異なります。8%の場合は、収入額の目安が年間510万円以下、10%の場合は775万円以下が対象です。また、現金で住宅取得した場合には、50歳以上で収入の目安が650万円以下(消費税10%の場合、8%の場合は510万円以下)が対象となります。
要件としては、住宅の床面積が50m2以上であること、中古住宅の場合は現行の耐震基準を満たすこと・売主が宅地建物取引業者であること(売主が個人の場合には消費税がかからないため、対象外)などに加え、第三者機関の検査が必要です。
給付金の額は、消費税8%の場合で10~30万円、10%の場合には10~50万円となっています。ただし、共有名義の場合には、この基礎額に持分割合をかけた額が給付額となります。
なお、申請は住宅取得者ごとなので、夫婦で持分がある場合にはそれぞれに申請が必要となります。
中古住宅
中古住宅とは、過去に人が住んだことのある既存住宅のことです。流通物件と呼ばれ、仲介会社を通じて取引されるのが一般的です。また、未入居であっても、完成から1年以上(「フラット35」では築後2年以上)経過したものは、中古に分類されます。
日本では、住宅供給量に占める中古注宅の比率は少なく、欧米の数分の1程度です。しかし住宅ストック数の増加や高齢化を背景に、中古住宅への関心は高くなっています。
中古住宅の価格は、仲介会社などが経験を基に近隣で売買された事例と比較して提案し、それをもとに売主の意向を反映して売出価格が提示されます。しかし、中古住宅は新築に比べて物件ごとの安全性や品質、性能の差が大きく、また、売却を急いでいるかどうかでも成約価格に違いがでるなど、物件と価格の妥当性を客観的に比較検討するには、情報が不十分だといわれてきました。これに対して、住宅性能表示制度を利用した評価など、客観的な情報を積極的に開示するケースも出ています。
中古住宅は新築に比べて価格が手ごろなため、近年は、立地や構造に納得できる中古物件を購入して、自分好みにリフォームする人も増えています。売り手と買い手の双方が納得できる客観的基準の提示によって中古住宅の流通を活性化させるため、既存住宅性能表示制度などが活用され始めています。
長期優良住宅
長期優良住宅とは、国の基準に基づいて、長寿かつ優良と認められた住宅のことです。2009年に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が施行され、国が定めた認定基準をクリアしたものを「長期優良住宅」と認定します。
認定基準は、劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、可変性、バリアフリー性、省エネルギー性、居住環境、住戸面積、維持保全計画の9項目で構成されています。これに加えて、住宅履歴の保管・管理も求められます。
長期優良住宅に認定されると、減税などの優遇措置を受けられるなどメリットは少なくありません。また、ハウスメーカーなどでは自社の技術水準を示す方法の一つとして取得するなど、認定数は拡大しています。住宅の品質やアフターサービスの充実度を判断する上で、有効な指標として定着してきているようです。
バリアフリー
バリアフリーとは、障壁をとりのぞくことです。障害のある人や高齢者が普通の社会生活をするうえで、支障となる物理的・精神的障壁を取り除こうという考え方です。
建物におけるバリアフリーとは、段差の解消や出入口や廊下の幅を広げるなど、高齢者や車イスでの生活がしやすくなるため配慮がなされます。
具体的には、玄関のスロープの設置、玄関・廊下などの段差の解消、手すりの設置、車イスで使用できるトイレ、介護しやすい浴室、照明やコンセント位置の工夫、車イスで作業できるキッチン、トイレや洗面室・浴室の暖房によるヒートショックの防止、非常連絡装置の設置などがあります。
なお、公共性の高い建築物については、2013年に施行されたバリアフリー法の対象となります。バリアフリー化の義務や努力義務が定められ、認定を受けると補助や税制の優遇が受けられます。
リフォーム
リフォームとは、住宅を改築や増築することです。壁紙の張り替えなど室内の雰囲気を変える小規模なものから、トイレ、浴室、キッチンなどの設備を丸ごと取り換えたり、壁を取り払って間取り変更をするなど、大がかりなものまで幅広くあります。また、リフォームの目的も、耐震補強や高齢化に対応したバリアフリー化から、ライフスタイルに合わせた快適さを追求するものまで、さまざまです。
リフォーム費用は、既存建物の状態、リフォームの範囲や規模、採用する設備のグレードなどで大きく違ってきます。築年数が古いほどリフォーム目的も多様になり、高額化する傾向にあります。リフォームの市場が拡大するにつれ、消費者の不安を解消するために「リフォーム瑕疵(かし)保険」を利用したり、アフターサービスや保証期間を設けるなど、サービスの充実も見られます。