住宅ローン
じゅうたくろーん
住宅ローンは、住宅購入や建築資金として借りる融資です。
住宅ローンとは、個人が住宅を購入・建築する資金として利用できる融資のことです。住宅ローンには、「
銀行ローン」「
フラット35」「
財形住宅融資」などがあります。
民間金融機関による融資は、都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、ノンバンク、
モーゲージバンクなどが取り扱っており、多彩な商品があるので選択肢は豊富です。金利も「変動型」「一定期間固定型」「全期間固定型」から選ぶことができます。「
フラット35」は民間金融機関と
住宅金融支援機構が提携している長期
固定金利型住宅ローンです。また、職場で
財形貯蓄を行っている人が受けられる「
財形住宅融資」もあります。そのほか、共済組合や生保ローン、JAの組合員向けローンなど、様々なものがあります。
売主が
提携ローンを用意している場合もあります。
これらのローンの中から、自分が受けられるローンを把握し、無理のない返済計画を立てることが大切でしょう。住宅ローンは必ずしも一つにする必要はなく、変動型の
銀行ローンと
フラット35を組み合わせたり、夫婦で返済期間の異なるローンを組むことも可能です。たくさんの選択肢があるので、ファィナンシャルプランナーなどに相談しながら、自分たちに合うプランを選択するのが賢明です。
銀行ローン
銀行ローンとは、民間金融機関による住宅ローンをいいます。
都市銀行や地方銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、ネット銀行などが融資する住宅ローンのことです。金融機関によって金利が異なり、返済期間や金利タイプ、生命保険付きなど多彩な商品があります。また、銀行独自で用意している住宅ローンと、ハウスメーカーなどと銀行が提携した「提携ローン」があります。
銀行ローンに対して、銀行と住宅金融支援機構が提携した証券化ローンの代表が「フラット35」です。
フラット35は一定の要件に該当する人はだれでも借りることができますが、銀行ローンの場合は、担保物件の評価額と個人の支払能力の両面から、銀行が独自に判断します。個人に関する審査では、収入だけでなく、他の借入状況、勤務先や雇用形態、勤続年数、健康状態(団体信用生命保険に加入できること等)などが検討されます。物件については、借地権の場合に融資額が限定されたり、融資が受けられない銀行もあるので、注意しましょう。
なお、長期優良住宅など品質の高い住宅の場合に、金利を優遇する金融機関もあります。
固定金利
固定金利とは、借入時の金利が返済期間中変わらないものです。住宅ローンでは「フラット35」などが代表的です。
住宅ローンでは、フラット35やフラット50以外に、民間金融機関でも返済期間20~35年の長期固定金利型の商品を扱っています。固定金利の利点は、借入時に月々の返済と総返済額が確定するので、将来的な返済計画を立てやすいことがあります。また、将来に市場金利が上昇した場合にも、影響を受けることはありません。ただし、固定金利は変動金利に比べて金利が高くなるのが一般的です。そのため、返済初期には返済額に占める利息の比率が高くなります。また、長期間低金利が続いた場合には、変動型よりも総支払額が多くなる可能性もあります。
財形貯蓄
財形貯蓄は、勤労者財産形成貯蓄の略称で、金融機関と契約を結んで、給料から天引きで、毎月またはボーナス時など定期的に積み立てる貯蓄です。契約機関は3年以上となっています。契約時の年齢制限はありません。天引きのため手間がかからず、財産づくりがしやすいという面があります。
財形貯蓄には、使途自由な一般財形貯蓄、年金として受け取ることを目的とした勤労者財産形成年金貯蓄(財形年金貯蓄)、持家取得を目的とした勤労者財産形成住宅貯蓄(財形住宅貯蓄)があります。
財形貯蓄は、財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄合わせて元金550万円までについては(財形年金貯蓄のうち、郵便貯金、生命保険・損害保険などは払込ベースで385万円)、その利子が非課税とされます。また、財形持家融資を利用することができます。
財形住宅貯蓄は55歳未満の人で、5年以上の契約期間となります。また、財形持家融資は、財形貯蓄残高の10倍相当(最高4000万円)で実際に要する費用の90%まで融資が受けられます。
住宅金融支援機構
住宅金融支援機構とは、住宅建設を資金面でバックアップするための独立行政法人です。前身は住宅金融公庫で、2007年に設立されました。
旧・住宅金融公庫は一般消費者に直接融資していましたが、住宅金融支援機構は民間金融機関による全期間固定金利住宅ローン「フラット35」の提供を支援することが主な業務となっています。民間金融機関の住宅ローンの供給を支援する証券化支援業務や住宅融資保険業務、住宅に関わる情報提供業務などを行います。また、災害復興住宅の融資など、一般の金融機関では対応が困難な融資業務も行います。
フラット35
フラット35とは、住宅金融支援機構と民間金融機関の提携による長期固定金利住宅ローンです。
返済期間は最長35年で、住宅の条件によっては金利が引き下げられる商品もあります。また、借りる時の保証料や繰り上げ返済の手数料も無料です。保証人も必要ありません。
申し込みの要件は、年齢が70歳未満で安定した収入があること、日本国籍または永住許可を受けている外国人、借入金の年間返済額(他の借入れを含む)が基準以下(年収400万円未満は30%以下、年収400万円以上は35%以下)であることとなっています。
対象となる住宅は、住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合していること(中古住宅は耐震評価基準等に適合)、購入価格が1億円以下、床面積がマンションの場合には30m2以上、一戸建てでは70m2以上などです。
借入額は、100~8000万円で、建設費または購入価格の9割以内となります。返済期間は15年以上35年以内(申込者が60歳以上の場合は10年以上)で、完済時の年齢が80歳未満となっています。 金利は全期間固定金利で、金融機関により異なります。
また、省エネ性や耐震性に優れた住宅には、一定期間金利を引き下げる「フラット35S」が、長期優良住宅には返済期間50年の「フラット50」が利用できます。
売主
売主とは、不動産取引においては、土地や建物などの不動産を売る個人または法人をいいます。購入者にとっては、売買契約を結ぶ相手です。
新築マンションや開発分譲地、建売住宅などでは、デベロッパーや不動産会社などの法人が売主となっているのが一般的です。その場合には、売主または代理会社は宅地建物取引業者であり、取引に際しては、手付金の保全義務やクーリングオフの制度などで消費者が守られています。また、仲介手数料も発生しません。
一方、中古物件では、売主は個人のケースが多くなります。その場合は、一般的に不動産会社が「媒介」することになり、仲介手数料が発生します。
まれに、登記上の所有者と売主が異なる場合、所有者の代理人が売主になっている場合、売買契約に売主ではなく代理の人が立ち会う場合などがあります。そのような例外的なケースでは、契約の前に本人確認や委任状の確認が重要となります。
提携ローン
提携ローンとは、不動産会社やハウスメーカーなど分譲住宅や建物や分譲マンションの販売会社が、購入者のために、あらかじめ金融機関と提携して用意している住宅ローンです。物件の審査が終了しているもので、物件ごとに条件が設定され、不動産広告などに借入限度額や適用金利などの条件が表示されます。
提携ローンは、購入者の資格審査に問題がなければ、比較的スムーズに借りられます。また、手続きは販売会社が代行してくれるので、手間がかかりません。
金利についても、通常の住宅ローンより優遇幅が大きくなっていることもあります。
ただし、個人によっては提携ローンが有利とは限りません。提携ローンが用意されている物件であっても、他のローンを利用するのは自由で、販売会社に嫌な顔をされるという心配はありません。どのローンが自分に合うか、見極めることが大切です。
モーゲージバンク
モーゲージバンクとは、住宅ローン専門に取り扱う会社で、金融関連会社や住宅関連会社などが出身母体となって設立され、フラット35を取り扱います。銀行などと異なり、預金業務はありません。資金調達の方法は、住宅ローン債権を住宅金融支援機構が買い取り、証券市場から資金調達します。
モーゲージ(mortgage)とは、抵当権の意味で、モーゲージローンは不動産の抵当権を担保にした貸し付けです。現在、フラット35の半分以上は、モーゲージバンクが担っています。
財形住宅融資
財形住宅融資は、勤労者のための住宅ローン制度です。これを利用するためには、原則として1年以上その勤務先に勤めていること、会社などが天引きで行う財形貯蓄を1年以上継続していること、その合計の貯蓄残高が50万円以上あることが条件とされています。
借りられる金額は、最高額を4000万円とし、財形貯蓄の残高の10倍の額までとなっています。ただし、物件購入価格の9割が上限として定められています。
財形住宅融資の特長としては、急激な金利上昇に対してのセーフティネットが用意されている点が挙げられます。5年ごとに行われる金利の見直しのタイミングで返済額は変動しますが、どんなに金利が上がっても、毎月の返済額は変更前の1.5倍までと上限が定められています。