VOC
ぶいおーしー
VOCとは、大気中に放出された揮発性有機化合物の総称です。
VOCとは、Volatile Organic Compoundsの略で、揮発性有機化合物のことです。大気中においては光化学大気汚染を引き起こす原因物質であり、住居では
シックハウス症候群の原因となります。大気汚染防止法によって工場などには排出基準が規制されており、建築物は
建築基準法によってシックハウス対策のための規制が導入されています。
シックハウスの原因となるVOCは、床材や壁材、塗料、接着剤、合成樹脂、
断熱材、家具、防カビ材、殺虫剤などさまざまなものがあります。厚生労働省は
シックハウス症候群の原因と推定される物質として、ホルムアルデヒド、
アセトアルデヒド、クロルピリホス、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなど、13種類のVOCについて、室内濃度の暫定目標値を定めています。また、2003年の
建築基準法改定で、ホルムアルデヒドに関する建材の使用制限や換気設備の設置義務、クロルピリホス(しろあり除去剤)の使用禁止などが定められました。
シックハウス症候群の原因物質は、さまざまな製品に使用されている可能性があり、建材にまったく使用されていない居室であっても対策は必要とされています。化粧品やタバコ、天然の材木などが発生源となることもあり、室内換気が重要です。
アセトアルデヒド
アセトアルデヒドは、特異な刺激臭をもつ無色の液体で、吸入すると顔面紅潮や頭痛、めまいなどの症状が現れます。エチルアルコールが酸化する過程などで発生します。
建築物の中では、アセトアルデヒドは塗料や接着剤などに含まれていることがあります。接着材では、酢酸ビニル樹脂溶剤系からの放散のほか、水系合成塗料やエタノールを含む自然系塗料からも放散される例があります。また、材木からも発生し、日本VOC測定協会によると、トドマツ、カラマツ、ヤチダモ、スギ材などからも放散が認められるようです。
アセトアルデヒドについては、住宅性能表示制度の測定対象物質には入っていません。厚生労働省はVOC(揮発性有機化合物)の測定対象物質の一つとして指針値を出していますが、数値に対する評価は定まっていません。
アセトアルデヒドの軽減対策としては、竣工後の測定、接着剤や塗料、溶剤の使用制限、換気などが挙げられます。状況によっては、室内を閉め切った状態で室温を30~35度程度まで上昇させて強制的にVOCを発散させる方法もあり、1週間程度で低減効果があるようです。
建築基準法
建築基準法とは、建物を建てるときの基本的な法律です。建築物の敷地・構造・設備・用途の最低基準を示し、用途地域や日影規制などエリアによって守るべき事項などが定められています。建物の利用者や近隣住民の生命・健康・財産を守ることを目的に、1950年に施行されました。基準の具体的な技術水準などは、建築基準施行令や施行規則などで詳細が規定されています。また、基準が実効性をもつように、着工前の建築確認や工事中の中間検査、完了検査、違法建築物の是正措置なども定められています。
建築基準法はこれまでに何度も改定を重ねています。1981年には現在の耐震基準が導入、2003年にはシックハウス対策の規定導入、2007年には耐震偽装事件を受けて建築確認審査の厳格化が図られました。中古マンションを選ぶ際には、いつ建てられたかによって基準が異なるため、築年は大まかな安全性を見るときの一つの目安にもなります。
シックハウス症候群
シックハウス症候群とは、住宅内に発生する化学物質などに反応して、目がチカチカする、喉が痛い、めまいや吐き気、頭痛、湿疹などの症状があらわれるものです。症状は個人によってさまざまです。
シックハウス症候群のおもな原因としては、建材や家具、日用品などから発散される化学物質による室内空気汚染や、住宅の気密性が高くなったことによる換気不足がいわれています。また、カビやダニ、ストーブなどから出る一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物、たばこの煙なども健康に悪影響を及ぼします。
シックハウス対策として、建築基準法では、ホルムアルデヒドなど使用制限がなされているほか、換気設備設置が義務付けられています。
シックハウス症候群対策では、刺激となる原因物質の使用を減らすことと、十分な換気を心がけることが大切です。
断熱材
断熱材とは、熱の伝達を抑えるためのもので、外気温の変化から建物を守るために使用されます。
断熱材は、建物の外側を覆ったり(外断熱)、壁の中や柱と柱の間に充填したり(内断熱)することで、建物の内側と外側との熱の出入りを抑えます。
建材として用いられる断熱材は、繊維系断熱材や発泡系断熱材があります。木造住宅の内断熱工法では、繊維系のグラスウールやロックウールなどがよく使用されます。これらは低コストで耐熱性、吸音性に優れています。また、コストは高くなりますが、セルロースファイバーやインシュレーションボードなどもあり、調湿性も有します。外断熱工法では、発泡系のポリスチレンフォームやビーズ法ポリスチレン(EPS)など難燃剤を含んだものが用いられます。また、現場で発泡して施工する硬質ウレタンフォーム(フロンガスなどで発泡させたウレタン樹脂)は、フロンガスの使用禁止で使用されなくなっていましたが、ノンフロンの開発で再度見直されています。