歩車分離
ほしゃぶんり
歩車分離とは、車道と歩行者用道路を分離するランドスケープのことです。
歩車分離とは、
敷地内を車が通過しないよう「通過交通」を排除し、車道と歩道を分離して歩行者の安全を図る道路配置のことです。イギリスに始まる近代的な計画住宅地において採用され、アメリカや日本においても街づくりに活かされています。とくに大規模なマンションでは、ランドスケープ(
敷地配置)に歩車分離型を採用するものが少なくありません。
歩車分離の配置では、
公道から
駐車場に向かう
アプローチと、人が歩いて
エントランスへ向かう
アプローチが別々で、交差しない工夫がされています。中には、車道と歩行者用道路が立体交差するものもあります。一戸建てが並ぶ分譲地では、ブロック外の車道から住宅の
駐車場へつながる道は行き止まりの路地(
クルドサック)となっており、ブロック内への車の進入を最低限に制限します。
歩車分離では、
駐車場から
エントランスまで離れていることもあり、車寄せを設けるなどの工夫もされています。
アプローチ
アプローチとは、住宅用語として使われる場合、道路や門など敷地の入口から玄関までをいいます。
敷地の入口から玄関までの通路を意味しますが、カーポートなどの配置も含みます。敷地の規模によってアプローチはコンパクトなものから、大規模なマンションなどでは歩行者用通路・車の出入口など広いスペースをもつものまであります。
アプローチは外観と並ぶ建物の顔であり、アプローチの作り方によって外観イメージも違ってきます。そのため、通路の取り方や植栽などで個性が演出できます。また、段差があればスロープや階段を設けるなど、出入りがスムーズにできるための工夫も施されます。また、防犯面から死角や防犯カメラの設置場所なども検討されます。美観、出入りの快適性、防犯面など、アプローチは重要な役割をもっています。
エントランス
エントランスとは、正面玄関に面した建物の出入口をいいます。最初に人を迎え入れる所で、建物の顔ともいえる空間です。一戸建てでは、エントランスポールや外灯、郵便ポストなどが設けられ、家人や来客を迎えるための装飾や防犯対策が施されます。マンションでは、広い「エントランスホール」を設けて、建物の個性やステイタスを演出している例もあります。来客の応接スペースや住民間のコミュニティスペースが設けられているものもあります。また、宅配ボックスや管理人室、クロークなども置かれます。また、不審者の侵入をシャットアウトするための防犯対策なども施されます。
駐車場
駐車場とは、自動車の駐車のための施設です。
車の所有には駐車場があることが義務付けられており、自宅から2km以内に駐車場がなければ書庫証明が取れません。
一戸建ての場合には、駐車場は設備の種類により、車庫、カーポート、カースペースなどがあります。マンションなどの場合には、設備によって平置き駐車場、自走式駐車場、機械式駐車場などがあります。都心部のマンションには総戸数に対する駐車可能台数が少ないものがあり、管理組合との間で期間を決めて賃貸するのが一般的です。
なお、最近ではカーシェアリングなどによって駐車場確保の問題や車の維持管理コストの削減、省エネなどに対応する動きもあります。
公道
公道とは、国や地方自治体など公的主体が管理している道路のことです。道路法で定める高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道などです。また、農道や林道も公的な保護や助成が受けられる半面、所有者による自由な処分はできず、公道としての性格が強いものです。公道の交通に対しては、道路交通法が適用されます。
建築基準法で道路という場合には、「幅員4m以上のもの」と規定されており、公道か私道かにかかわらず、接道義務がクリアされていれば問題はありません。
なお、公道であれば道路の補修など維持管理を公的に行ってくれるので、私道を寄付して公道に移管しようとするケースがありますが、実際には予算の関係などから、なかなか寄付を受けつけないようです。小規模な開発地などで、袋上の前面道路が私道になって、何軒かで私道負担している場合があります。私道であっても公衆用の道路として維持管理されていれば問題ありませんが、凸凹のままなど維持管理状態が悪いものもあります。現地見学では、維持管理の方法や費用負担について、確認しておきましょう。
敷地
敷地とは、建物が立っているか、これから建物を建てる土地のことです。敷地面積は、その土地の面積のことで、水平投影面積をいいます。水平投影面積とは、土地や建物を真上から見たときの面積で、傾斜や凹凸があっても、水平として測定した面積になります。
敷地面積には、登記簿に記載された登記簿面積(地積)と実測面積が異なっている場合があります。そのため、土地の売買契約などにおいては、土地家屋調査士などの専門家による実測をしてからというのが鉄則です。
なお、住宅を建てるために土地を購入するときには、接道条件などによっては、土地面積の一部が敷地面積に算入できないので、注意が必要です。また、敷地面積だけでなく、建物の配置や駐車場のスペースなども考慮しましょう。
クルドサック
クルドサックとは、袋小路を意味するフランス語で、住宅地の道路配置において、道路の先が行き止まりになっており、車が通り抜けできない形状になっています。道路の奥はロータリーになっていることが多く、中央部分に樹木を植えるなど、緑地スペースにしているものもあります。
クルドサックは、大規模な分譲地やニュータウンでよく見かけるもので、車道が袋小路になっていることで、外部の車の通り抜け(通過交通)を抑制し、歩行者の安全性を高めます。また、居住者以外の車が入り込みにくいので、防犯効果もあります。
なお、災害時に一方向だけの避難ルートになるのを回避するために、突き当たりの反対側などに歩行者用通路を設けることが多いようです。