液状化
えきじょうか
液状化とは、地震などの揺れで地盤が液体状になることをいいます。
液状化とは、地震の振動などで地盤が泥水化する現象で、建物や道路が傾いたり、沈下したり、水道管などが浮き上がって破損するなど、大きな被害をもたらすことがあります。ゆるい砂地盤の海岸や河口付近、
埋立地、河川の扇状地などで発生しやすく、東日本大震災では広範に被害が及びました。液状化は、建築物が受ける直接被害に加えて、道路の寸断や上下水道の切断など
ライフラインに影響します。また、一度液状化した地盤は、再液状化のリスクも抱えます。そのため、リスクエリアでの
地盤調査と対策は大変重要です。
液状化対策には、
地盤改良と建築物の対策の2つの方向があります。
地盤改良には、地盤を締め固める、安定剤などで固める、地下水を抜くなどの方法があります。建築物の対策では、支持層と呼ばれる硬い基盤まで杭を打ち込むなどの方法があります。
なお、液状化のリスクについては、液状化
ハザードマップなどを参考にすることができます。
地盤改良
地盤改良とは、建物の基礎地盤を安定させるため、地盤自体の強度を高めることをいいます。軟弱な地盤に対して、液状化や地盤沈下などによる被害を避けるために施される工事の一つです。
地盤改良の方法には、地盤の中の水を抜く方法や、地盤に地盤固化材を混ぜて固める工法があります。地盤を固める工法は、軟弱地盤の深さによって適する工法が異なります。2m以内程度と比較的浅い場合には、地盤全面にわたって元の土とセメント系固化材を混ぜ合わせて固める、表層改良工法が一般的に採用されます。軟弱地盤が深部に及ぶ場合や超軟弱地盤の場合には、セメントミルク(セメント系固化材と水を混ぜたもの)を地盤の中に注入撹拌して、柱状の改良杭をつくる杭状改良工法が選択されます。そのほか、砕石を用いる工法などもあり、さまざまな地盤改良技術の発展がみられます。
ハザードマップ
ハザードマップは、洪水や津波などの自然災害によって被害が及ぶ範囲や被害程度を予測し、被害予測状況及び避難経路や避難場所などの情報を地図化したものです。災害の発生地点、規模などを設定し、シミュレーションによって被害範囲を予測します。
ハザードマップの作成は市区町村が主体となって実施し、平常時において災害によるリスクを住民が認識し、災害時の適切な避難誘導に役立てることが目的です。ハザードマップには、河川の氾濫を想定した「洪水ハザードマップ」、土石流の発生やがけ崩れなどの警戒区域と避難場所などが記載された「土砂災害ハザードマップ」、地震によって液状化現象が発生する範囲や大規模火災が発生する範囲および避難施設などを記載した「地震防災マップ」、津波による浸水地域や通行止め箇所を記載した「津波浸水・高潮マップ」、火山の災害予測を記載した「火山ハザードマップ」などがあります。
なお、災害被害は、災害規模や発生地点などによって大きく異なります。ハザードマップは、人命を守るための避難を優先する考え方から、最大包括的に被害状況を想定しています。
地盤調査
地盤調査とは、建物などを建てる際に、地盤の性質や強度などを調べることです。地盤調査によって、建物が安全に支えられるかどうかを把握し、必要に応じて地盤改良工事や構造の設計を行います。
地盤調査の方法には、スウェーデン式サウンディング試験(SWS)、ボーリング調査(標準貫入試験)、表面波探査法、サンプリングなどがあります。宅地ではSWSが一般的で、先端がキリ状の器具に荷重をかけて地盤の強さを測定します。SWSは敷地の5ケ所以上の測定が基本で、コストは1ケ所につき2~3万円が相場です。マンションやビルなどを建設する際には、ボーリング調査を実施します。最も基本的な地盤調査で、地耐力を測定すると同時に、土を採取して地質も調べます。表面波探査法は、地表から地中に振動波を発信して地盤の固さを調べるもので、SWSとボーリングの中間ぐらいの精度です。
ライフライン
ライフラインとは、命綱を意味し、都市生活において不可欠な電気、ガス、水道、通信、交通網などをいいます。
地震の多い日本では、巨大地震に備えてどのようにライフラインを確保するかが大きな課題です。1995年の阪神・淡路大震災では甚大な被害を受け、また、2011年の東日本大震災においては、地震、津波、原発事故により被害は広範に渡りました。交通網や通信設備が被害を受けることによって、救助・救援、物資の輸送が困難となることも被害の拡大や復旧の遅れを招きます。また、公共施設や医療機関が被害を受けることで、避難場所の確保や応急処置に支障が出ます。
これに対し、被災地域の復旧活動をはじめ、災害に強いインフラづくりが求められると同時に、地域ぐるみの防災活動や助け合いの重要さも見直されています。
埋立地
埋立地とは、川や海、湖などを埋め立てて、人工的に造成した土地です。
埋立地の歴史は古く、大阪や東京では、その昔から埋め立てとともに町が形成されてきました。埋立地には陸続きに埋立地を形成する場合と、水面を囲んでその中に土砂などを入れて島を形成する場合があります。埋立には、河川の浚渫土砂や都市のゴミなどが使われ、都市の廃棄物の処分場としての役割を果たしてきました。
また、埋立地は、海や川に面して形成されるため、船運など物流拠点を多く抱えます。近年では、集中する都市人口に対して住宅地を確保する役割も果たしてきました。
埋立地は広大な土地が確保でき、計画的に大規模な開発ができるため、整然とした街づくりが可能です。しかし、海や川を埋め立てているため地盤は極めて軟弱です。大阪では、阪神・淡路大震災によって埋立地で液状化による被害が発生しました。また、東日本大震災では、千葉県沿岸部の埋立地で液状化現象によって家が傾くなどの被害がありました。
液状化によって、家屋などの資産は大きな被害を受けます。東京都や大阪市では、液状化予測図を公開しています。液状化のリスクが高い立地では、地盤改良や耐震性の高い建築物を建てるなどの対策が必要です。地盤の強度やリスクを知ることで、あらかじめ対策を講じることが大切です。