アセトアルデヒド
あせとあるでひど
アセトアルデヒドは、シックハウス症候群の原因となる物質の一つです。
アセトアルデヒドは、特異な刺激臭をもつ無色の液体で、吸入すると顔面紅潮や頭痛、めまいなどの症状が現れます。エチルアルコールが酸化する過程などで発生します。
建築物の中では、アセトアルデヒドは塗料や接着剤などに含まれていることがあります。接着材では、酢酸ビニル樹脂溶剤系からの放散のほか、水系合成塗料やエタノールを含む自然系塗料からも放散される例があります。また、材木からも発生し、日本
VOC測定協会によると、トドマツ、カラマツ、ヤチダモ、スギ材などからも放散が認められるようです。
アセトアルデヒドについては、
住宅性能表示制度の測定対象物質には入っていません。厚生労働省は
VOC(揮発性有機化合物)の測定対象物質の一つとして指針値を出していますが、数値に対する評価は定まっていません。
アセトアルデヒドの軽減対策としては、竣工後の測定、接着剤や塗料、溶剤の使用制限、換気などが挙げられます。状況によっては、室内を閉め切った状態で室温を30~35度程度まで上昇させて強制的に
VOCを発散させる方法もあり、1週間程度で低減効果があるようです。
住宅性能表示制度
住宅性能表示制度とは、住宅の性能を適切に評価するための制度です。「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいて、2000年に制定されました。
住宅の性能を分かりやすく表示するために、構造耐力、省エネルギー性、遮音性などに関して共通の表示ルールと評価基準を設け、専門の第三者機関が性能評価を行い、「住宅性能評価書」を交付します。「住宅性能評価書」は、国土交通大臣によって指定を受けた「指定住宅性能評価機関」に申請し、設計段階で審査を受ける「設計住宅性能評価書」と工事完了後に審査を受ける「建設住宅性能評価書」があります。
新築住宅では、構造の安定、火災時の安全、劣化の軽減、維持管理への配慮、省エネ対策、シックハウス対策、窓の面積、遮音対策、高齢者への配慮、防犯対策の10分野について、等級や数値で評価されます。また、新築住宅で契約書に住宅性能評価書を添付した場合には、評価書に表示された性能が契約とみなされます。また、建設住宅性能評価書が交付された住宅に万一トラブルが発生した場合には、指定住宅紛争処理機関が紛争処理に当たってくれます。
中古住宅では、現況検査と性能評価が行われます。
VOC
VOCとは、Volatile Organic Compoundsの略で、揮発性有機化合物のことです。大気中においては光化学大気汚染を引き起こす原因物質であり、住居ではシックハウス症候群の原因となります。大気汚染防止法によって工場などには排出基準が規制されており、建築物は建築基準法によってシックハウス対策のための規制が導入されています。
シックハウスの原因となるVOCは、床材や壁材、塗料、接着剤、合成樹脂、断熱材、家具、防カビ材、殺虫剤などさまざまなものがあります。厚生労働省はシックハウス症候群の原因と推定される物質として、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロルピリホス、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなど、13種類のVOCについて、室内濃度の暫定目標値を定めています。また、2003年の建築基準法改定で、ホルムアルデヒドに関する建材の使用制限や換気設備の設置義務、クロルピリホス(しろあり除去剤)の使用禁止などが定められました。 シックハウス症候群の原因物質は、さまざまな製品に使用されている可能性があり、建材にまったく使用されていない居室であっても対策は必要とされています。化粧品やタバコ、天然の材木などが発生源となることもあり、室内換気が重要です。