造園
ぞうえん
造園とは、庭づくりのことです。
造園とは、庭をつくることです。家庭の庭づくりから、公共の公園や庭園などの造園工事まで、大小の空間スペースを創作するものとなっています。
個人の庭では、建物と一体になって自然と調和した心地よい生活空間として庭がつくられます。庭の様式には日本庭園や洋風庭園、イギリス風の
ガーデニングもあれば、
坪庭や
パティオなどもあります。また、都市部のマンションやオフィスビルでは、屋上庭園や壁面緑化、空中庭園なども創造されています。
公共の空間では、公園や遊園地、レクリエーション施設などのほか、街路、植物園、
アトリウム、河川など、人々が暮らすさまざまな生活利便施設や社会施設において、自然環境と調和した美的空間がデザインされます。
造園業は、植物の特性や環境適応性などの知識はもとより、調査、計画、デザイン、施工、管理などにまたがる技術体系をもった専門職となっています。厚生労働省が認定する造園技能士の国家資格もあります。
ガーデニング
ガーデニングとは、庭やバルコニーで植物を育てることをいいます。主に家庭菜園として、1990年頃から人気を集めるようになりました。現在では、日常のストレス解消やロハスな生活として、都市生活から田舎暮らしまで、幅広い層に定着しています。
一戸建ての魅力の一つとして「庭のある暮らし」がいわれていましたが、マンションでも、バルコニーなどに鉢植えを置いたり、プランターで野菜を育てるなど、ガーデニングの楽しみは広がっています。ガーデニングができることをうたったマンションも登場しています。ただし、マンションでは「直に土を入れてはいけない」など管理上の制限がある場合が少なくありません。ガーデニングを楽しみたい人は、管理規約などをチェックしましょう。
パティオ
パティオとは、中庭のことです。パティオ(patio)はスペイン語で中庭とか裏庭を意味します。
建物に囲まれた屋外空間で、タイルや石が敷き詰められていたり、コンクリートなどで舗装され、噴水や植栽などが配置されています。屋外で食事を楽しんだり、住人のコミュニケーションの場としても活用されます。
最近のマンションや一戸建て住宅で、建物に囲まれた形で設けた庭をパティオと呼びます。道路側からは隔てられており、人目に触れることのないプライベートな空間となります。
マンションでは住戸棟に囲まれた広いスペースにパティオを設ける例もあります。一戸建て住宅でも、パティオを配置することで効果的に光や風を取り込む方法もあり、敷地面積に余裕がある場合だけでなく、都心などの狭小住宅に採用されるケースもあります。
アトリウム
アトリウムとは、天窓から自然の光を取り入れた、広々とした吹抜け空間をいいます。ホテルやオフィスビルのロビー、マンションのエントランス、大規模な商業施設などに設けられます。
もともとは古代ローマの住居にあった中庭で、屋根の中心部に大きな天窓があり、床には大理石が敷き詰められ、中央には雨水を受ける水盤が置かれていました。アトリウムは人々が集うコミュニケーション広場の役割もありました。
現代建築におけるアトリウムは、20世紀後半から世界的に流行します。その背景には、建物が密集する都市空間で、採光と開放感を実現することにありました。吹抜けの上部はガラスやアクリルパネルなどの光を通す屋根で覆い、全天候型のオープンスペースとして使用されるものもあります。
坪庭
坪庭とは、塀や建物で囲まれた小さい空間に設えた庭をいいます。植栽を取り入れて四季の移ろいを楽しむものであると同時に、通風や採光などでも重要な役割を果たします。
坪庭は、玄関脇や中庭など、建物や垣根などで囲まれ町家で発展してきました。間口が狭く奥行きの深い京の町家では、鑑賞用としての庭であるだけでなく、通風や採光のためにも坪庭が必要だったのです。
最近では、自由な発想で、古木、レンガ、ファニチャーなどを配置する個性的な坪庭もあります。特に都心の住宅密集地では、プライバシーを確保するために隣家との間に壁や目隠しが必要ですが、その内側などに坪庭をつくることで、開放感が生まれます。狭小住宅などで通風・採光を確保する方法としても、坪庭が見直されています。また、技術の進歩により、2階やバルコニー、屋上などに庭をつくることも可能になっています。広くない敷地であっても、庭を楽しめるのが坪庭で、京の町家から現在にその思想は継承されているといえます。