破風
はふ
破風とは、屋根の妻側に付けられる山形の造形をいいます。
破風とは、
屋根の
妻側の端に取り付けられた山形の板とその付属物をいいます。伝統的な日本建築に見られるもので、寺社や城郭などを中心に発展してきました。
破風には、「入母屋(いりもや)破風」(
入母屋屋根にできる破風)、「千鳥(ちどり)破風」(
屋根面に設ける切妻の破風)、「唐(から)破風」(玄関などに設けられる、両端が反っている破風)などがあります。
破風板には溝や彫刻を施すこともあり、
漆喰や黒漆などで塗布したり、彫刻の板や飾り金具などを取り付けて優美な意匠とすることもあります。入母屋造りでは、破風は建物の見せどころとなります。
漆喰
漆喰とは、消石灰に糊や繊維(おもに刻んだ麻などの植物繊維)を加え、水とともに練り込んだものです。防火性や調湿性が高く、古くから建築材として利用されてきました。日本では寺院や蔵などに使用され、伝統的な木造建築の内外装の仕上げ材として使用されます。漆喰を用いた壁を漆喰壁と呼び、コテなどで塗りつけます。
消石灰は、石灰石(生物を起源とする鉱物)を高温で焼成し、水と作用させて精製します。漆喰壁は、主成分の消石灰が空気中の炭酸ガスを取り込んで硬化(炭酸化)します。漆喰壁はVOC(揮発性有機化合物)の心配が少なく、防カビ効果やニオイを吸収する効果も期待できます。
漆喰壁は、伝統的な白を基調としながらも、現在では多彩な色彩がラインナップされています。
屋根
屋根とは、風雨や日射から建物を守るために、建築物を覆うように設けられた構造物です。気候や風土によって特徴があり、形状や屋根材の種類もさまざまです。
屋根の形状および屋根材を決めるうえで、基本として求められるのが、耐震性、防水性、防火性、耐久性、断熱性などです。特に木造住宅の場合には、屋根材の重量によって、耐震性を確保するために構造上、壁の量を増やす必要などもあります。また、素材によって雨漏りを起こさないための屋根の勾配も規定されます。
屋根の形状には、切妻(きりづま)、寄棟(よせむね)、陸屋根(りくやね)、片流れ(かたながれ)、入母屋(いりもや)、方形(ほうぎょう)、鋸屋根(のこぎりやね)、バタフライなどがあります。
屋根材には、瓦などの粘土系、セメントなどを加工した化粧スレート、石を板状にした天然スレート、金属系のガルバリウム鋼板、銅板などがあります。
入母屋屋根
入母屋屋根とは、屋根の上部が切妻屋根の形で、下部が寄棟屋根の形をした屋根です。伝統的な日本家屋の屋根の形で、格式の高い屋根とされています。
上部は2方向に傾斜をもつ山形で、下部は前後左右の4方向に傾斜をもちます。傾斜は上部分が下よりも急なものと、上下の傾斜が同じものがあります。
入母屋屋根の特徴は、切妻屋根のように屋根裏の換気が取りやすいことと、寄棟屋根のように四方に軒が下がってくるので、雨が壁に当たりにくく、風雨に強いとされています。切妻屋根と寄棟屋根の利点を併せもっているものです。
妻側
妻側とは、建物の棟(長い方向)に対して直角な側面のことです。棟に平行した側面は平側(ひらがわ)と呼びます。
切妻屋根とか入母屋屋根では、側面の三角形の壁面をいいます。マンションで妻側住戸といった場合には、建物の両端に位置する住戸を指します。例えば、バルコニーが南に面する長方形のマンションでは、東側と西側が妻側となり、妻側住戸とは、東南角の住戸と西南角の住戸になります。
妻側住戸では2面採光や3面採光が可能で、採光、通風に優れています。また、プライバシーも確保しやすいため、人気が高く、価格も高めになります。