大壁造り
おおかべづくり
大壁造りとは、柱が見えないよう壁で覆っている工法です。
大壁造りとは、木造軸組み工法において、構造材の
柱が外から見えないように、壁を
柱の外側で仕上げる工法です。洋風建築物では、大壁造りが一般的です。また、近年の木造住宅でも、伝統的な
真壁造りに代わって、大壁造りが主流になってきています。
大壁造りは壁に厚みができるので、
断熱材や遮音材、補強材などを壁の中に入れやすく、また、高
耐力壁を設けることも可能です。施工も
真壁造りに比べて簡単で、
柱は壁に隠れるため見栄えなどにこだわる必要がなく、施工コストも安くなる傾向です。
ただし、
木造3階建てでは構造上
耐力壁が必要なため、和室であっても大壁造りにすることが原則です。
真壁造りには特殊な技術や条件を要します。
耐力壁
耐力壁とは、建物自身の重さや積雪などによる上からの荷重(鉛直力)と、地震や台風などによる横からの力(水平力)に対抗して、建物を支えるための壁のことです。このような外力に対して建物が安全な構造となるように、筋交いを入れたり、構造用合板を張った壁を耐力壁といいます。
必要な耐力壁の量(必要壁量)は、建物が重くなるほど、床面積が広くなるほど大きくなります。また、形状によっても必要壁量は異なり、細長い建物などでは必要壁量も多くなります。耐力壁の強度を壁倍率といい、壁倍率を増やすことで耐震性を高めることができます。加えて、ねじれなどの力に対抗するには、耐力壁の全体バランスも重要です。
なお、構造上の役割がなく、空間を仕切るだけの壁を間仕切り壁といい、リフォームなどで取り外すことが可能ですが、耐力壁は撤去できません。
断熱材
断熱材とは、熱の伝達を抑えるためのもので、外気温の変化から建物を守るために使用されます。
断熱材は、建物の外側を覆ったり(外断熱)、壁の中や柱と柱の間に充填したり(内断熱)することで、建物の内側と外側との熱の出入りを抑えます。
建材として用いられる断熱材は、繊維系断熱材や発泡系断熱材があります。木造住宅の内断熱工法では、繊維系のグラスウールやロックウールなどがよく使用されます。これらは低コストで耐熱性、吸音性に優れています。また、コストは高くなりますが、セルロースファイバーやインシュレーションボードなどもあり、調湿性も有します。外断熱工法では、発泡系のポリスチレンフォームやビーズ法ポリスチレン(EPS)など難燃剤を含んだものが用いられます。また、現場で発泡して施工する硬質ウレタンフォーム(フロンガスなどで発泡させたウレタン樹脂)は、フロンガスの使用禁止で使用されなくなっていましたが、ノンフロンの開発で再度見直されています。
柱
柱とは、建物の軸組みで、土台に対して垂直に立てて、屋根や床の荷重を土台や基礎に伝えるものです。木造軸組工法やラーメン構造では、梁などとともに建物を支える最も重要な部材です。
柱の太さは、柱の位置や部屋の大きさ、支える重さによって決めます。木造2階建て以上の場合には、土台から軒まで通った継ぎ目のない「通し柱」が建物の四隅に使われます。「通し柱」は、上下階を構造的に一体化させて耐震性を高めるために重要なものです。各階ごとに梁や胴差しなどで区切られた柱を、「管柱(くだばしら)」といいます。「管柱」も各階の荷重を受ける構造体です。このほか、柱と柱の間に壁の補強のために入れる柱を「間柱(まばしら)」と呼びます。また、壁に取り付けた装飾用の柱を「付け柱」といいます。
真壁造り
真壁造りとは、木造軸組み工法において、柱や梁が見えるように、室内に露出させる工法です。日本の伝統的な壁仕上げの手法です。
柱や梁が見えるので、節や割れのない、見栄えの良い柱を採用します。また、集成材を使う場合には、化粧張りを施したものを用い、見栄えを良くします。真壁造りは、塗り壁とよく調和し、木の温かみがあり、和の趣が醸し出されます。ただし、柱などにこだわるほどコストもアップし、施工に手間もかかります。
なお、木造3階建てや階高が低い場合などで、真壁造りが難しいものもあります。そのような場合には、大壁に化粧用の付け柱(見せかけの柱)を張ることで、和風のイメージを出す方法があります。
木造3階建て
木造3階建ては、かつては準防火地域では建てられないなど、建築が規制されていました。しかし、1987年の建築基準法改正で、一定の技術水準に適合する戸建住宅では準防火地域での建築が可能となり、その後は防火地域での建築も可能となりました。また、1998年の法改正では、木造3階建てアパートの建築も可能となっています。
ただし、木造3階建ては、高い耐火性能や構造計算などが義務付けられています。構造的にバランスが悪いと耐震性に問題を生じやすく、建物の間口に広い開口部を取ったり、耐力壁の位置などによってもバランスを欠くと、最悪の場合には欠陥住宅となってしまうこともあります。
住宅密集地などで土地を有効活用できることから、木造3階建ては年々増加しています。限られた敷地で居住スペースを確保できるものですが、耐火性能や耐震性能には十分な対策が不可欠です。