木造3階建て
もくぞうさんかいだて
木造3階建てとは、一定の技術水準に適合する建築物について、建築が認められているものです。
木造3階建ては、かつては
準防火地域では建てられないなど、建築が規制されていました。しかし、1987年の
建築基準法改正で、一定の技術水準に適合する戸建住宅では
準防火地域での建築が可能となり、その後は
防火地域での建築も可能となりました。また、1998年の法改正では、木造3階建てアパートの建築も可能となっています。
ただし、木造3階建ては、高い耐火性能や構造計算などが義務付けられています。構造的にバランスが悪いと耐震性に問題を生じやすく、建物の
間口に広い
開口部を取ったり、
耐力壁の位置などによってもバランスを欠くと、最悪の場合には
欠陥住宅となってしまうこともあります。
住宅密集地などで土地を有効活用できることから、木造3階建ては年々増加しています。限られた
敷地で居住スペースを確保できるものですが、耐火性能や耐震性能には十分な対策が不可欠です。
建築基準法
建築基準法とは、建物を建てるときの基本的な法律です。建築物の敷地・構造・設備・用途の最低基準を示し、用途地域や日影規制などエリアによって守るべき事項などが定められています。建物の利用者や近隣住民の生命・健康・財産を守ることを目的に、1950年に施行されました。基準の具体的な技術水準などは、建築基準施行令や施行規則などで詳細が規定されています。また、基準が実効性をもつように、着工前の建築確認や工事中の中間検査、完了検査、違法建築物の是正措置なども定められています。
建築基準法はこれまでに何度も改定を重ねています。1981年には現在の耐震基準が導入、2003年にはシックハウス対策の規定導入、2007年には耐震偽装事件を受けて建築確認審査の厳格化が図られました。中古マンションを選ぶ際には、いつ建てられたかによって基準が異なるため、築年は大まかな安全性を見るときの一つの目安にもなります。
準防火地域
準防火地域とは、都市計画法で指定された地域の一つです。市街地における火災の危険を防ぐために、防火地域に準じて、建物の構造などを規制しています。地階を除く階数が4階建て以上または延べ床面積が1,500m2を超える建物は、耐火構造としなければなりません。延べ床面積が500m2超1,500m2以下の建物は、耐火構造または準耐火構造にしなければなりません。3階建ての建物は、耐火構造、準耐火構造または外壁や軒裏を防火構造にするなどの一定の技術基準に適合する必要があります。通常の木造平屋建てや木造2階建ては建築できます。
防火地域
防火地域とは、都市計画法によって指定された地域の一つです。市街地における火災の危険を防ぐために、建物の構造などを規制しています。基本的には建物は耐火構造にする必要があります。2階建て以下で延べ床面積が100m2以下の建物は、耐火構造または準耐火構造にしなければならないと定められています。また、高さ3mを超える看板や広告塔、建物の屋上に設けるものは、主要構造部分を不燃材料で造るか覆う必要があります。
防火地域に指定されるのは、主として市街地の中心部や幹線道路です。従来型の木造住宅のなかには耐火構造・準耐火構造に対応していないものもあり、その建築物は防火地域には建てられません。
欠陥住宅
欠陥住宅とは、通常あるべき安全性や住宅の機能に欠陥をもつ住宅です。欠陥とは、建築基準法などの建築関連の法令に違反するもの、工事請負契約書など契約書や設計図に違反するもの、設計・施工ミスや技術力の不足によるものなどで、構造の安全性や耐久性、耐火性、断熱性、遮音性、健康面での安全性などに支障があるものをいいます。
新築住宅では、品確法によって、構造上の主要な部分または雨漏りに対する瑕疵(かし)担保責任は、引き渡しから10年間となっています。瑕疵担保責任期間内の補修は、売主または請負業者に請求できます。ただし、不動産業者から購入した場合には、引き渡しから2年以内となっています。
欠陥住宅の症状は、基礎の沈下、床の傾き・たわみ、壁の亀裂・仕上げ材のはがれ、天井のたわみ、屋根の変形、雨漏り、設備からの漏水、建具の開閉不良、建物の揺れ、シックハウスなどがあります。欠陥の疑いが見つかった場合には、速やかに専門家に調査してもらう必要があります。
なお、建築時には法令を満たしていた住宅で、法改正によって適合しなくなったものは、既存不適格住宅といい、欠陥住宅とは区別されます。
敷地
敷地とは、建物が立っているか、これから建物を建てる土地のことです。敷地面積は、その土地の面積のことで、水平投影面積をいいます。水平投影面積とは、土地や建物を真上から見たときの面積で、傾斜や凹凸があっても、水平として測定した面積になります。
敷地面積には、登記簿に記載された登記簿面積(地積)と実測面積が異なっている場合があります。そのため、土地の売買契約などにおいては、土地家屋調査士などの専門家による実測をしてからというのが鉄則です。
なお、住宅を建てるために土地を購入するときには、接道条件などによっては、土地面積の一部が敷地面積に算入できないので、注意が必要です。また、敷地面積だけでなく、建物の配置や駐車場のスペースなども考慮しましょう。
耐力壁
耐力壁とは、建物自身の重さや積雪などによる上からの荷重(鉛直力)と、地震や台風などによる横からの力(水平力)に対抗して、建物を支えるための壁のことです。このような外力に対して建物が安全な構造となるように、筋交いを入れたり、構造用合板を張った壁を耐力壁といいます。
必要な耐力壁の量(必要壁量)は、建物が重くなるほど、床面積が広くなるほど大きくなります。また、形状によっても必要壁量は異なり、細長い建物などでは必要壁量も多くなります。耐力壁の強度を壁倍率といい、壁倍率を増やすことで耐震性を高めることができます。加えて、ねじれなどの力に対抗するには、耐力壁の全体バランスも重要です。
なお、構造上の役割がなく、空間を仕切るだけの壁を間仕切り壁といい、リフォームなどで取り外すことが可能ですが、耐力壁は撤去できません。
間口
間口とは、敷地や建物を正面から見た幅のことをいいます。これに対して、敷地や建物の長さを「奥行き」といいます。間口は、一戸建ての場合には、道路に面した側をいい、マンションなどの場合には、リビングやバルコニーのある側を指します。
間口が広いと、通風や採光を確保しやすいため、同じ面積では間口が狭くて奥行きが長いものより割高となるのが一般的です。ただし、間口が広ければいいというものではなく、奥行きとのバランスが重要です。間口が広いと、外からの視線を遮ることも考慮する必要があります。
黄金比といわれる1:1.618(およそ5:8)や1:1.5などはバランスがよく、使い勝手がよい配置がつくりやすいといわれています。
開口部
開口部とは、建物の壁などに設けられた窓や出入口など屋外や室外に向かって開かれた部分です。リビングや居室の窓、天窓、玄関や室内ドアなどをいいます。
開口部は、採光、換気、通風、眺望、通行などの役割があります。床面積に対して一定以上の開口部がなければ、居室と呼べません。
開口部の位置や広さは、建築物の躯体強度に影響するほか、通風や採光などの居住空間の快適性や断熱性なども左右します。また、リビングに大きな窓を設けて眺望を楽しんだり、隣家との距離や視線を考慮して開口部の位置や高さを工夫するなど、室内からの視界、外部からの視線なども考慮することが大切です。
また、出入口として使用する開口部は、開閉に必要なスペースや開閉時の安全性なども考慮されます。