高気密/高断熱
こうきみつ/こうだんねつ
高気密・高断熱とは、住宅の気密性・断熱性が高いことです。
高気密・高断熱とは、従来の家屋よりも気密性や断熱性が高いことです。高気密・高断熱住宅とは、建物の隙間が少なく、断熱性も高く、冷暖房効果が高い省エネ住宅をいいます。
高気密・高断熱住宅は、1999年に制定された「次世代
省エネルギー基準」以上のレベルを満たしていることを目安にするのが一般的です。その適合基準では、全国を気象条件によって6地域に分け、地域ごとに断熱性能値(
Q値)や気密性能値(
C値)、日射遮蔽の基準値が示されています。
高気密・高断熱住宅では、年間を通じて、冷暖房にあまり頼らなくても快適な温度が保たれやすく、エネルギー消費量やCO2の排出量の抑制につながります。その一方で、気密性が高いために自然換気が不十分になりがちで、
24時間換気システムを採用するなど、室内に新鮮な空気を循環させる工夫が必要です。
Q値
Q値とは、熱損失係数というもので、室内外の温度差が1℃のときに、建物全体から1時間に逃げ出す熱量を床面積で割った数値です。数値が小さいほど、断熱性能が優れていることを表わします。
室内より室外温度が低い場合には、屋根や壁、床、窓、玄関などから熱量が逃げていきますが、断熱工法などで熱損失量を抑制することが可能です。また、隙間風や換気によっても熱を失いますが、気密性を高めることや熱交換型換気によっても熱損失量は抑制されます。
Q値は、屋根・天井・窓・壁・床などからの熱損失量と換気による熱損失量の合計を延べ床面積で割って算出します。単位はW/m2Kで表わします。
C値
C値とは、建物全体の隙間面積を延べ床面積で割った数値で、「隙間相当面積」といいます。建物のトータルな気密性を表わし、数値が小さいほど気密性が高いことを意味します。
C値は、1m2あたりどれくらい隙間があるかを表わす数値で、単位はcm2/m2で表わします。気密測定器を使って測定するため、信頼性の高い値が得られます。ただし、日本の場合には測定時の室内外の気圧差が約10パスカル(世界基準は50パスカル)となっており、台風などの影響で風圧が高くなったときに同等の効果を発揮できるとは限りません。
C値が5.0cm2以下の住宅を省エネ基準に定める気密住宅、2.0cm2以下を次世代省エネルギー基準で定める気密住宅とされていましたが、2009年の省エネルギー基準の改正で削除されました。
住宅の気密性を確保するには、気象変化などによる一定の風圧も考慮することが大切です。
24時間換気システム
24時間換気システムとは、ファンなどの機械を使って、室内の空気を計画的に入れ替え、常時新鮮な空気を維持するためのシステムです。
住宅の高気密化が進み、シックハウス症候群が問題となったことから、2003年の建築基準法改正で、24時間換気システムの設置が義務づけられました。シックハウス症候群の原因物質のひとつであるホルムアルデヒドは、建材に使用されていない場合でも、家具などから発散されることがあります。そのため、建築基準法では、必要な換気回数を0.5回/h以上としています。これは1時間で部屋の空気の半分が入れ替わることを意味します。
24時間換気システムの方式には、給気と排気の両方にファンを用いる「第1種換気」、給気のみファンを使用して排気は自然換気とする「第2種換気」、排気のみファンを使って給気は自然給気とする「第3種換気」の3種類があります。換気量が適切に行われるためには、家屋の気密度に応じたシステムの選択が重要です。
省エネルギー基準
省エネルギー基準とは、1979年に制定された「省エネルギー法」に基づいて、何度か改定を重ねながら、住宅などの省エネ化を推進するために定められている基準です。
2013年に大幅に改定され、外壁や窓などの外皮の熱性能(断熱性など)に加え、建物全体の省エネルギー性能を評価する「一次エネルギー消費量」の基準が加わりました。「一次エネルギー消費量」は、住宅内の「空調・暖冷房設備」「換気設備」「照明設備」「給湯設備」「昇降機(エレベーター)」「事務機器・家電調理器」のエネルギー消費量の合計から算出します。また、太陽光発電など発電して自家消費したエネルギーは削減量として差し引くことができます。
新しい省エネ基準は、住宅や建築物全体の省エネ化の底上げと、より高いレベルの省エネを推進するために、ベースとなる基準として定められています。現在は努力基準ですが、2020年をめどに、段階的に義務化される方向です。