矩計図
かなばかりず
矩計図とは、設計図の一つで、断面詳細図のことです。
矩計図とは、建物の重要な部分を上下に切断した断面詳細図です。建物を施工する上で、重要な図面の一つです。
矩計図は、
基礎、床組み、外壁、室内壁、天井、
屋根などの寸法や形状、仕上げ、材料、施工方法などが詳細に書き込まれています。矩計図を見ることで、その建築物の基本的な性能や仕様が把握できるといわれるほど重要な図面です。
例えば、
基礎の形状や配筋、床組みの方法、外壁の仕上げ、断熱方法や
断熱材の種類なども詳細に記入され、断面図を兼ねることもあります。
矩計図の縮尺は20分の1から50分の1で描かれることが多いようです。
基礎
基礎とは、建物の最下部にあり、上物の荷重を地盤に伝える構造です。建物を安全に支えるために、極めて重要なものです。
基礎の種類には、布基礎(連続フーチング基礎)、ベタ基礎、杭基礎などがあります。布基礎は壁面に沿ってコンクリート構造が連続する形状の基礎です。「布」とは、水平の意味があり、「フーチング」とは断面が逆T字型の底が広がった基礎底盤で、布基礎では床下の地面は土のままとなります。これに対してベタ基礎は、建物の底全体を鉄筋入りのコンクリートで固める構造です。かつては、木造在来工法では布基礎が、2X4工法やプレハブ工法ではベタ基礎が一般的でしたが、最近では在来工法でもベタ基礎を採用する例が多いようです。
寺社や古民家など、日本の伝統的な建築物は、1本ずつの柱単独に設けられる独立基礎(独立フーチング基礎)が用いられてきました。固い支持基盤まで杭を打ち込む杭基礎などの方法も取られます。
断熱材
断熱材とは、熱の伝達を抑えるためのもので、外気温の変化から建物を守るために使用されます。
断熱材は、建物の外側を覆ったり(外断熱)、壁の中や柱と柱の間に充填したり(内断熱)することで、建物の内側と外側との熱の出入りを抑えます。
建材として用いられる断熱材は、繊維系断熱材や発泡系断熱材があります。木造住宅の内断熱工法では、繊維系のグラスウールやロックウールなどがよく使用されます。これらは低コストで耐熱性、吸音性に優れています。また、コストは高くなりますが、セルロースファイバーやインシュレーションボードなどもあり、調湿性も有します。外断熱工法では、発泡系のポリスチレンフォームやビーズ法ポリスチレン(EPS)など難燃剤を含んだものが用いられます。また、現場で発泡して施工する硬質ウレタンフォーム(フロンガスなどで発泡させたウレタン樹脂)は、フロンガスの使用禁止で使用されなくなっていましたが、ノンフロンの開発で再度見直されています。
屋根
屋根とは、風雨や日射から建物を守るために、建築物を覆うように設けられた構造物です。気候や風土によって特徴があり、形状や屋根材の種類もさまざまです。
屋根の形状および屋根材を決めるうえで、基本として求められるのが、耐震性、防水性、防火性、耐久性、断熱性などです。特に木造住宅の場合には、屋根材の重量によって、耐震性を確保するために構造上、壁の量を増やす必要などもあります。また、素材によって雨漏りを起こさないための屋根の勾配も規定されます。
屋根の形状には、切妻(きりづま)、寄棟(よせむね)、陸屋根(りくやね)、片流れ(かたながれ)、入母屋(いりもや)、方形(ほうぎょう)、鋸屋根(のこぎりやね)、バタフライなどがあります。
屋根材には、瓦などの粘土系、セメントなどを加工した化粧スレート、石を板状にした天然スレート、金属系のガルバリウム鋼板、銅板などがあります。