地盤改良
じばんかいりょう
地盤改良とは、建物の沈下などを防ぐため、軟弱地盤を改良することです。
地盤改良とは、建物の
基礎地盤を安定させるため、地盤自体の強度を高めることをいいます。軟弱な地盤に対して、
液状化や地盤沈下などによる被害を避けるために施される工事の一つです。
地盤改良の方法には、地盤の中の水を抜く方法や、地盤に地盤固化材を混ぜて固める工法があります。地盤を固める工法は、軟弱地盤の深さによって適する工法が異なります。2m以内程度と比較的浅い場合には、地盤全面にわたって元の土とセメント系固化材を混ぜ合わせて固める、表層改良工法が一般的に採用されます。軟弱地盤が深部に及ぶ場合や超軟弱地盤の場合には、セメントミルク(セメント系固化材と水を混ぜたもの)を地盤の中に注入撹拌して、
柱状の改良杭をつくる杭状改良工法が選択されます。そのほか、砕石を用いる工法などもあり、さまざまな地盤改良技術の発展がみられます。
液状化
液状化とは、地震の振動などで地盤が泥水化する現象で、建物や道路が傾いたり、沈下したり、水道管などが浮き上がって破損するなど、大きな被害をもたらすことがあります。ゆるい砂地盤の海岸や河口付近、埋立地、河川の扇状地などで発生しやすく、東日本大震災では広範に被害が及びました。液状化は、建築物が受ける直接被害に加えて、道路の寸断や上下水道の切断などライフラインに影響します。また、一度液状化した地盤は、再液状化のリスクも抱えます。そのため、リスクエリアでの地盤調査と対策は大変重要です。
液状化対策には、地盤改良と建築物の対策の2つの方向があります。地盤改良には、地盤を締め固める、安定剤などで固める、地下水を抜くなどの方法があります。建築物の対策では、支持層と呼ばれる硬い基盤まで杭を打ち込むなどの方法があります。
なお、液状化のリスクについては、液状化ハザードマップなどを参考にすることができます。
基礎
基礎とは、建物の最下部にあり、上物の荷重を地盤に伝える構造です。建物を安全に支えるために、極めて重要なものです。
基礎の種類には、布基礎(連続フーチング基礎)、ベタ基礎、杭基礎などがあります。布基礎は壁面に沿ってコンクリート構造が連続する形状の基礎です。「布」とは、水平の意味があり、「フーチング」とは断面が逆T字型の底が広がった基礎底盤で、布基礎では床下の地面は土のままとなります。これに対してベタ基礎は、建物の底全体を鉄筋入りのコンクリートで固める構造です。かつては、木造在来工法では布基礎が、2X4工法やプレハブ工法ではベタ基礎が一般的でしたが、最近では在来工法でもベタ基礎を採用する例が多いようです。
寺社や古民家など、日本の伝統的な建築物は、1本ずつの柱単独に設けられる独立基礎(独立フーチング基礎)が用いられてきました。固い支持基盤まで杭を打ち込む杭基礎などの方法も取られます。
柱
柱とは、建物の軸組みで、土台に対して垂直に立てて、屋根や床の荷重を土台や基礎に伝えるものです。木造軸組工法やラーメン構造では、梁などとともに建物を支える最も重要な部材です。
柱の太さは、柱の位置や部屋の大きさ、支える重さによって決めます。木造2階建て以上の場合には、土台から軒まで通った継ぎ目のない「通し柱」が建物の四隅に使われます。「通し柱」は、上下階を構造的に一体化させて耐震性を高めるために重要なものです。各階ごとに梁や胴差しなどで区切られた柱を、「管柱(くだばしら)」といいます。「管柱」も各階の荷重を受ける構造体です。このほか、柱と柱の間に壁の補強のために入れる柱を「間柱(まばしら)」と呼びます。また、壁に取り付けた装飾用の柱を「付け柱」といいます。