斜線制限/高さ制限
しゃせんせいげん/たかさせいげん
斜線制限とは、近隣の日照を確保するために、建物の各部分の高さに制限を設けるものです。高さ制限ともいいいます。
斜線制限とは、
都市計画区域内に建物を建てる際に、近隣の日照を確保するために、一定の高さ制限を設けるものです。斜線制限には、隣地の日照、
採光、通風などを確保するための「
隣地斜線制限」、道路の日照、
採光、通風などを確保するための「
道路斜線制限」、北側の隣地の日照などを確保するための「
北側斜線制限」があります。
斜線制限は、建物を真横から見たとき、建物の外壁は一定の高さ以上の部分では、一定の勾配の斜線より引っこんでいなければならないというものです。ビルなどで、斜線制限をクリアするために、上部を三角形にデザインするなどの例もあります。
北側斜線制限
北側斜線制限とは、第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域内で、北側にある建築物に日照などを確保するために、一定の高さ制限を設けるものです。
建物の高さは、敷地の真北方向の隣地境界線までの水平距離に1.25倍した数値に、第1種低層住居専用地域・第2種低層住居専用地域の場合には5mを、第1種中高層住居専用地域・第2種中高層住居専用地域の場合は10mを加えた数値以下にしなければなりません。ただし、北側が水路であったり、北側との地盤に高低差があるなどで、制限が緩和されるものもあります。
道路斜線制限
道路斜線制限とは、狭い道路に対して高層建築物が建つことで、道路および道路の両側の建築物に、日照、採光や通風の悪影響が生じないように、建築物の各部分に高さの制限を設けるものです。道路側の上部空間を確保するもので、前面道路の幅員によって、用途地域や面積率に応じた制限があります。
これは、道路の反対側の境界線までの距離に一定の数値を掛け(住居系は1.25)、建築物の高さを、それ以下に制限するものです。勾配の斜線内に建築物を収めるために、屋根に傾斜をつけるなどで対応することもあります。また、建物を道路境界線から後退させて建てる場合には、その後退した距離と同じだけの距離が、反対側の境界線の外側とみなされ、道路斜線制限が緩和されます。
都市計画
都市計画とは、都市の健全な発展と自然環境の調和などにより、健康で文化的な都市空間を整備するための総合的な街づくりの計画です。都市計画法の規定による法的な規制力があり、秩序ある整備を図るための土地利用や都市施設の整備、市街地開発事業などが定められます。
都市計画を定める場所を都市計画区域と呼び、一定の開発行為を行う場合には都道府県知事の許可が必要となるなど、規制がかかります。
都市計画には、市街化区域と市街化調整区域の区分、地域地区、促進区域、遊休土地転換利用促進地区、被災市街地復興促進地域、都市施設、市街地開発事業、都市計画区域のマスタープラン、都市再開発方針等、市街地開発事業等予定区域、地区計画等があります。
隣地斜線制限
隣地斜線制限とは、都市計画区域内で建物を建てるときに、隣り合う建築物の日照、採光、通風を確保するために、一定の高さ制限を設けるものです。隣地境界線から一定の高さ以上の部分では、一定の勾配に斜線を引き、その下側より引っこんでいなければならないものです。
この一定の高さと一定の勾配は、用途地域によって異なります。例えば、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、第1種住居地域、第2種住居地域、準住居地域では、隣地境界線に20mの高さに立ち上げた位置から、1:1.25の勾配の斜線内となります。商業・工業系地域では、31mの位置から1:2.5の勾配の斜線内となります。
なお、第1種低層住居専用地域と第2種住居専用地域は「絶対高さ制限」があるため、隣地斜線制限は適用されません。
採光
採光とは、自然の光を窓などから室内に取り入れることをいいます。建築基準法では、住宅の居室について、居室の床面積の1/7以上の採光に有効な開口部の面積が必要と規定されています。ただし、「採光」とは直射日光のことではないので、北側の窓が「採光に有効な窓」となる場合もあります。有効な採光面積は、用途地域や部屋の大きさ、窓の大きさによって決定されます。ただし、納戸やトイレ、浴室、洗面室などは対象となりません。
隣家が迫っている住宅密集地などでは、採光を確保するために、天窓やライトコートを設けるなど、さまざまな工夫が見られます。また、日当たりを調節するには、カーテンやブラインド、反射ガラスなどを利用します。