法地/法面
のりち/のりめん
法地・法面とは、宅地として利用できない斜面部分のことです。
法地とは、そのままでは宅地として利用できない斜面部分をいいます。「法面」とも呼びます。法地は、自然にできた斜面の場合もありますが、傾斜地を
宅地造成したときに切土や盛土によってでき、傾斜を安定させるためにコンクリートや植物などで被覆されたものもあります。急な傾斜によって地すべりなどの危険がある場合には、
擁壁などの整備が必要となります。
しかし、登記簿には法地部分の面積が表示されているわけではありません。法地部分でも、造成によって使用可能となる場合もあれば、造成が困難な立地もあります。
不動産広告では、土地面積の30%以上が法地や崖などの傾斜地の場合や、傾斜地を含むことで有効な土地利用が著しく阻害される場合には、傾斜地を含む旨とその面積を記載しなければいけません。ただし、傾斜角度など明確な定義があるわけではありません。
宅地造成
宅地造成とは、農地や牧草地、森林などの宅地以外の土地を宅地にするために、土地の形や性質を変えることです。既に宅地となっている土地を、宅地として形質を変える場合も含みます。
宅地造成は傾斜地などで行われることも多く、崖崩れや土砂の流出による災害を防止するために、宅地造成等規制法が設けられ、規制区域内の一定の宅地造成については都道府県知事の許可が必要となっています。規制の対象となる宅地造成は、「切り土で、高さが2mを超える崖を生ずる工事」「盛り土で、高さが1mを超える崖を生ずる工事」「切り土と盛り土を同時に行うとき、盛り土は1m以下でも切り土と合わせて高さが2mを超える崖を生ずる工事」「切り土、盛り土で生じる崖の高さに関係なく、宅地造成面積が500m2を超える工事」のいずれかに該当するものです。
許可には、擁壁や排水設備、地滑り防止設備、地盤の安定などについて技術水準が定められています。
また、宅地造成等規制区域外に対しても、宅地造成に伴う災害の危険があるものには、都道府県知事は「造成宅地防災区域」に指定することができます。この区域に指定されると、災害防止のための擁壁設置義務などの規制を受けます。
擁壁
擁壁とは、切り土や盛り土をした斜面に、土の圧力で土砂が崩壊しないように斜面を補強した壁です。擁壁が十分に強固でなければ、長雨や地震などで土砂が倒壊する危険性があるため、擁壁については建築基準法などで細かな規定が設けられています。
擁壁のタイプには、練石積み・コンクリートブロック積み擁壁、重力式コンクリート擁壁、鉄筋コンクリート擁壁があります。これらの擁壁は、土の圧力に耐える構造に加え、強度を維持するために、水はけや水抜きが適切に行われるよう水抜穴(3m2に1ヶ所以上・内径75mm以上)などが設置されています。
擁壁の強度については、問題が生じていないかチェックすることが重要です。擁壁上の排水が良好か、水抜穴のつまりや破損はないか、ひび割れや不同沈下(ふどうちんか)、擁壁のふくらみ、傾斜などを観察し、異常が見られたら、早めの対策が必要です。