延べ床面積
のべゆかめんせき
延べ床面積とは、建築物の各階の床面積の合計のことです。
延べ床面積とは、建物の各階の床面積の合計のことです。延べ床面積は
容積率を超えて建てることはできません。
床面積の算定は、
柱または外壁の中心線を基準とします。ただし、
ピロティ、
ポーチなどで壁や扉、
柱などがなく、屋内的な用途で使用されない場合は、床面積に算入されません。吹きさらしの廊下、
バルコニーは先端から2mまでの部分、一定条件の
出窓なども算入されません。また、
ロフトや小屋裏は、設置される階の床面積の2分の1未満で天井高が1.4m以下、
地下室は全床面積の3分の1未満、ビルトインガレージは全床面積の5分の1未満であれば、床面積に算入されません。このような空間は、限られた
敷地内で
容積率の範囲の中で、収納や作業スペースとして有効活用することもできます。
バルコニー
バルコニーとは、マンションなどの屋外に張り出した床のことです。
室内空間の延長として、掃き出し窓などの先に設けられ、屋根や天井はなく、手すりが付いています。上階のバルコニーが屋根の代わりになります。バルコニーは広さや用途によって、アウトドアリビングとして活用できる「リビングバルコニー」や、コンパクトで室外機置場やゴミ置場などに利用される「サービスバルコニー」などがあります。また、階下の屋根を利用した広い「ルーフバルコニー」もあります。
分譲マンションの場合、バルコニーは共用部分に属します。居住者だけが使用できる専用使用権はありますが、改造したり、物置などの固定物を設置することはできません。バルコニーは消防法で、緊急時の避難通路とされています。そのため、避難時の障害にならないように管理規約等にはバルコニーの使用制限が定められています。
ピロティ
ピロティとは、1階部分の壁がない柱だけで支えた空間です。
ピロティ(pilotis)はフランス語で建物を支える杭を意味します。2階建て以上の建物で、1階部分の一部あるいは全部を、壁で囲まれていない柱だけの空間にしたものです。このような空間を持った構造の建物自体をピロティと呼ぶこともあります。
マンションでは1階部分をピロティにして、駐車場や通路として利用するケースがあります。一戸建てでもピロティを設けて、アウトドアリビングや車庫として利用する例もあります。建築基準法では、ピロティを通路として使用する場合には床面積に算入しませんが、駐車場にする場合には床面積に含めなければなりません。また、建築面積についてはピロティも含めます。
なお、ピロティのある建物は地震に弱いことがあります。1995年の阪神・淡路大震災でピロティを採用した多くの建物が被害を受けました。そのため、ピロティ形式の採用には耐震補強などの対策が欠かせません。一方、東日本大震災では津波の被害から流出を守られたケースもありました。ピロティの構造上の利点と弱点を踏まえた対策が望まれます。
ポーチ
ポーチとは、玄関の前にある庇が突き出た空間をいいます。建物の入口にある屋根付きのスペースで、車寄せの部分です。
ポーチには、玄関ドア前の小スペースから、支柱を施したもの、上下2層の荘厳なものまで、形態もスケールも多様です。ポーチは建物のファサードを構成する重要な部分で、風雨や日差しから守るとともに、その意匠によって建物に威容や個性をもたらします。
最近は、マンションにも玄関ポーチを設ける例があります。共用廊下から玄関の間に門扉などを設けることで、独立性や戸建て感覚が生まれます。鉢植えを飾ったり、バギーなどを置く場所としても重宝されるようです。
容積率
容積率とは、敷地に対する延べ床面積の割合で、その上限が都市計画における用途地域によって制限されています。また、敷地の前面道路の幅員によっても、容積率は制限されます。このどちらか厳しいほうによって、建物の容積率は制限され、建てられる高さが規制されます。
容積率の制限とは、例えば、容積率が200%で敷地面積が100m2の場合、延べ床面積200m2までの建物が建てられます。延べ床面積は各階の床面積の合計ですが、一定条件の地下室や車庫は算入されません。
角地などで前面道路が2つある場合は、広い方の道路の幅員を適用します。また、敷地が容積率の異なる地域にまたがる場合は、それぞれの地域ごとの延べ床面積を合計したものとなります。
ロフト
ロフトとは、小屋裏部屋のことです。屋根の下にあり、物置や倉庫として利用されます。住宅では、天井を高くして、その一部を二層式にした上部スペースをいいます。
ロフトは物置としての活用のほかに、書斎や寝室として利用することもあります。また、ロフトに上がるためには、専用のはしごが設置されます。天井高や採光などが不十分なため、建築基準法では居室と認められません。しかし、換気や採光、断熱などに工夫すると、快適な居住空間を作ることも可能です。アトリエや子ども部屋として利用するケースもあります。
敷地
敷地とは、建物が立っているか、これから建物を建てる土地のことです。敷地面積は、その土地の面積のことで、水平投影面積をいいます。水平投影面積とは、土地や建物を真上から見たときの面積で、傾斜や凹凸があっても、水平として測定した面積になります。
敷地面積には、登記簿に記載された登記簿面積(地積)と実測面積が異なっている場合があります。そのため、土地の売買契約などにおいては、土地家屋調査士などの専門家による実測をしてからというのが鉄則です。
なお、住宅を建てるために土地を購入するときには、接道条件などによっては、土地面積の一部が敷地面積に算入できないので、注意が必要です。また、敷地面積だけでなく、建物の配置や駐車場のスペースなども考慮しましょう。
地下室
地下室とは、地階に設けた居室をいいます。建築基準法では、床面から天井までの高さの3分の1以上が地盤面より下にあるものを地下室と呼んでいます。また、地下室の天井が地盤面から1m以下にある場合には、容積率の緩和措置があります。地下室の面積が建物全体の延べ床面積の3分の1以下の場合には、地下室の面積は延べ床面積に算入されません。
ただし、地下室は採光や防湿に十分な対策をとる必要があります。地下は年間の温度変化が少なく、断熱性や遮音性に優れますが、一方で、採光や換気、防湿、排水などが課題です。建築基準法では、採光のために一定基準以上のドライエリア(空堀)を設けることのほか、換気設備や温度調整設備の設置、耐水対策などを定めています。
地下室は限られた敷地を有効に利用できることで注目されていますが、高度な建築技術が必要で、建築費用も高くなります。
出窓
出窓とは、外壁の壁面より外に張り出した窓のことです。洋風建築では、出窓を取り入れて室内空間をデザインすることが多いようです。
出窓は、部屋を広く見せる、おしゃれな雰囲気になるといった効果があります。出窓の種類には、台形出窓、角型出窓、弓型をしたボウウインドウなどがあります。また、窓の開き方によって、引き違い窓、両脇滑り出し窓、はめ殺し窓などがあり、設置される場所によって、キッチン出窓、浴室出窓、和室用出窓などがあります。
なお、建築基準法では、外壁から張り出した部分が50cm以内、床面から窓の下までの高さが30cm以上、窓の幅(見付け面積)が出窓全体の1/2以上、の条件を満たしていれば、床面積には算入されません。
出窓を設置する場合の注意点としては、結露や防犯上の対策です。出窓は結露しやすいため、断熱性の高い製品を選ぶことも大切です。また、シャッターや格子をつけるなど、防犯面の考慮も必要です。
柱
柱とは、建物の軸組みで、土台に対して垂直に立てて、屋根や床の荷重を土台や基礎に伝えるものです。木造軸組工法やラーメン構造では、梁などとともに建物を支える最も重要な部材です。
柱の太さは、柱の位置や部屋の大きさ、支える重さによって決めます。木造2階建て以上の場合には、土台から軒まで通った継ぎ目のない「通し柱」が建物の四隅に使われます。「通し柱」は、上下階を構造的に一体化させて耐震性を高めるために重要なものです。各階ごとに梁や胴差しなどで区切られた柱を、「管柱(くだばしら)」といいます。「管柱」も各階の荷重を受ける構造体です。このほか、柱と柱の間に壁の補強のために入れる柱を「間柱(まばしら)」と呼びます。また、壁に取り付けた装飾用の柱を「付け柱」といいます。