日影規制
にちえいきせい/ひかげきせい
日影規制とは、近隣の日照時間を確保するために中高層の建築物に高さ制限を設けるものです。
日影規制とは、マンション建設によって近隣の日照権を損なわないよう、中高層建築物に一定の高さ制限を設けるものです。これは
都市計画区域内で、地方自治体が条例で定める地域が対象となります。
日影による建築物の高さを規制するもので、冬至日の午前8時から午後4時まで(北海道は午前9時から午後3時まで)の間に、一定時間以上の影を生じないよう義務付けています。
対象となる建築物は、第1種・
第2種低層住居専用地域では軒の高さが7mを超えるもの(または地階を除く3階建て以上)、その他住居系
用途地域、
商業地域、
近隣商業地域、
準工業地域では高さが10mを超えるものです。地面から一定の高さの水平面で、一定面積について、日影ができる時間を規制します。
近隣商業地域
近隣商業地域とは、近隣の住民が日用品などの買い物をする店舗や事務所などの業務の利便の増進を図る地域です。地元の商店街などで、生活利便性やにぎわいもあります。建てられるものは住居のほか、教育施設、病院、店舗、事務所、ホテル、ボウリング場やスケート場、カラオケボックス、パチンコ店など広範な商業施設です。ミニシアターや自動車教習所、環境悪化のおそれがない150m2以下の工場も建てられます。商業地域や準工業地域で禁止されているものは建てられません。
建ぺい率は60・80%、容積率は100・150・200・300.・400・500%です。
準工業地域
準工業地域とは、おもに軽工業などの工場で、環境悪化のおそれのない工場の、業務の利便の増進を図る地域です。工場の規模に規制はありませんが、振動や騒音の発生、火災の危険性などから一定の業種の建築は制限されています。危険物の貯蔵・処理なども規制されます。
住宅や店舗と工場が混在する地域です。
建ぺい率は50・60・80%、容積率は100・150・200・300・400・500%です。
なお、工場跡地などに住宅街やマンションが建設されるケースでは、用途地域は準工業地域や工業地域にありながら、大規模なグランドデザインによって街並みが整備されたものや、環境に配慮された良好な住環境も見られます。準工業地域はさまざまな用途に活用されているので、住環境としての良し悪しは個別性が高いといえます。
商業地域
商業地域とは、店舗、金融機関、飲食店、デパート、事務所などの商業の業務の利便の増進を図る地域です。住宅や小規模の工場も建てられます。準工業地域で禁止されているものは建てられません。また、原動機を使用する150m2以上の工場や、商業や業務活動の障害となる工場は禁止されています。
建ぺい率は80%、容積率は200・300・400・500・600・700・800・900・1000・1100・1200・1300%です。
市街地の中心部や駅前などで、ビルが林立しているエリアです。利便性が良く、高層マンションやタワーマンションなども建てられています。ただし、日影規制の対象にならないため、住戸の日当たりなどは個別に確認する必要があります。
第2種低層住居専用地域
第2種低層住居専用地域とは、おもに低層住宅の良好な環境を守るための地域で、建てられるものは住居のほか、小・中・高等学校、銭湯、診療所、150m2までの一定の店舗、飲食店などです。小規模な店舗の立地を認めた、低層住宅専用の地域です。
建ぺい率は30・40・50・60%、容積率は50・60・80・100・150・200%です。建築物の高さは、原則として10または20m以下に制限されています。
都市計画
都市計画とは、都市の健全な発展と自然環境の調和などにより、健康で文化的な都市空間を整備するための総合的な街づくりの計画です。都市計画法の規定による法的な規制力があり、秩序ある整備を図るための土地利用や都市施設の整備、市街地開発事業などが定められます。
都市計画を定める場所を都市計画区域と呼び、一定の開発行為を行う場合には都道府県知事の許可が必要となるなど、規制がかかります。
都市計画には、市街化区域と市街化調整区域の区分、地域地区、促進区域、遊休土地転換利用促進地区、被災市街地復興促進地域、都市施設、市街地開発事業、都市計画区域のマスタープラン、都市再開発方針等、市街地開発事業等予定区域、地区計画等があります。
用途地域
用途地域とは、地域における建物の用途に一定の制限が設けられたものです。市街化地域の計画的な利用によって環境保全を図るために、都市計画法で指定されています。その土地にどんな建物が建てられるのかという最も重要な地域地区の情報で、周辺環境を知る上でも重要な目安となります。
用途地域は12種類あります。そこでは建築基準法などによって、建築できる建物の種類、建ぺい率、容積率、斜線制限、高さの限度、日影制限、外壁の後退、敷地の最低規模などが定められています。
各用途地域には、「第1種低層住居専用地域」「第2種低層住居専用地域」「第1種中高層住居専用地域」「第2種中高層住居専用地域」「第1種住居地域」「第2種住居地域」「準住居地域」「近隣商業地域」「商業地域」「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域」があります。
2つ以上の用途地域にまたがるときは、敷地の過半が属する用途地域の規制を受けます。建物にも周辺環境にも大きな影響があるので、対象物件がどの用途地域に属し、どんな規制があるのか、確認することが大切です。