違約金
いやくきん
違約金とは、債務の不履行があった場合、債務者が債権者に対して支払うよう約束した金銭のことです。
通常、不動産売買は契約書に基づいて取引が行われますが、
売主または買主のどちらかが債務を履行することができなかった時、契約違反をした側が相手に対してを支払う旨を約束した金銭です。
売買契約が締結された後でも、一定期間内であれば
手付金の放棄によって契約を解除できます。しかし、
売主が契約の履行を開始すると契約解除ができなくなります。そのため、
売主側からすると新規に住宅を建築してしまうと建築コストが発生してしまうことが違約金を規定している主な理由です。
違約金は賠償請求額の予定とともに契約条項に盛り込まれています。なお、違約金の額ですが、損害賠償額の予定と合わせても売買代金の2割を越えてはならないと
宅地建物取引業法で定められています。
なお、不動産売買時に限らず、賃貸においても違約金が発生するケースがあります。建物の賃貸借契約において、入居者が中途解約を申し入れた場合、契約書の内容に基づいて家賃の数カ月分に相当する違約金を支払うことがあります。
貸主側からすると本来予定されていた利益の機会を逸してしまったことに対して受け取る金銭と言えます。
宅地建物取引業法
宅地建物取引業法とは、宅地や建物の取引に関して基本となる法律です。この法律は、宅地建物取引業者の免許制度を実施し、公正な取引と円滑な流通を促進するために、1952年に制定されました。略して「宅建業法」とも呼ばれます。
この法律により、宅地・建物の売買や交換、賃貸の代理・媒介を業務として行うものを「宅地建物取引業者」と定められ、宅建業免許がなければ宅地建物取引業は営むことができません。宅建業者の免許や宅地建物取引主任者の資格、営業保証金、業務などについて定められています。
宅地建物取引業者は、信義誠実に業務を行うことが原則とされ、誇大広告の禁止など各種の広告規制、重要事項の説明義務などが課されています。
手付金
手付金とは、売買契約や賃貸借契約時に支払われるお金です。
手付金には3つの性格があります。1つは、契約成立の証拠となる「証約手付」。もう1つは、債務不履行の際の損害賠償額の予定を兼ねるまたは違約罰とする「違約手付」です。そしてもう1つが「解約手付」という性格で、不動産取引では特に重要です。「解約手付」とは、手付を支払った方は手付放棄で、相手方は手付倍返しで、契約を解除できるというものです。
手付金の性格については、当事者間で取り決めることができますが、特に定めない場合は「解約手付」とされます。不動産会社(宅地建物取引業者)が売主の場合には、手付金は「解約手付」とみなされます。また、宅建業者は売買代金の2割を超える手付金は受け取ることはできません。加えて、手付金が1000万円を超えるとき、あるいは未完成物件の場合に売買代金の5%を超えるとき、完成済み物件では売買代金の10%を超えるとき、手付金の保全措置が義務付けられています。
売主
売主とは、不動産取引においては、土地や建物などの不動産を売る個人または法人をいいます。購入者にとっては、売買契約を結ぶ相手です。
新築マンションや開発分譲地、建売住宅などでは、デベロッパーや不動産会社などの法人が売主となっているのが一般的です。その場合には、売主または代理会社は宅地建物取引業者であり、取引に際しては、手付金の保全義務やクーリングオフの制度などで消費者が守られています。また、仲介手数料も発生しません。
一方、中古物件では、売主は個人のケースが多くなります。その場合は、一般的に不動産会社が「媒介」することになり、仲介手数料が発生します。
まれに、登記上の所有者と売主が異なる場合、所有者の代理人が売主になっている場合、売買契約に売主ではなく代理の人が立ち会う場合などがあります。そのような例外的なケースでは、契約の前に本人確認や委任状の確認が重要となります。
貸主
貸主とは、土地やマンション、住宅などの不動産物件を貸す人または法人のことです。
不動産の賃貸借契約では、取引態様に「貸主」「代理」「仲介」のケースがあり、このうち「貸主」とは、契約の当事者が「貸主」になっている物件のことです。「貸主」物件では、仲介手数料はかかりません。
不動産の所有者(オーナー)が「貸主」になっていることが一般的ですが、中にはオーナーがサブリース会社などに一括賃貸して、サブリース会社が転貸する「転貸」物件もあります。
貸主は個人の場合もあれば、比較的大規模に賃貸業を運営している法人の場合もあります。