旗竿地
はたざおち
旗竿地とは、細い通路で道路に接する、竿に旗がついたような形状の土地です。
旗竿地とは、他の土地に囲まれた
敷地から、細い通路のような
敷地が延びて道路に接する土地をいいます。土地の形状が、竿についた旗に似ているので、旗竿地と呼びます。
建築基準法では建物の
敷地は2m以上の
接道義務があり、旗竿地については地方自治体によって条例で更に規制をしている場合があります。例えば東京都の場合、
路地状部分の長さが20mを超える場合には、幅員が3m以上となっています。また、マンションなどは
路地状部分の幅員や
敷地面積に制限が設けられています。このような基準を最低限クリアしているものの、周囲を隣地に囲まれた立地環境にあるのが旗竿地です。
旗竿地のデメリットは、
公道に出にくいことに加え、通風や
採光を取りにくいこともあります。ただし、デメリットがあるだけに、土地価格が安いのが利点です。建物の配置や設計によっては、通風や
採光を確保することも可能です。また、路地部分に花壇を設けるなど、工夫次第で快適な環境をつくる方法もあります。
建築基準法
建築基準法とは、建物を建てるときの基本的な法律です。建築物の敷地・構造・設備・用途の最低基準を示し、用途地域や日影規制などエリアによって守るべき事項などが定められています。建物の利用者や近隣住民の生命・健康・財産を守ることを目的に、1950年に施行されました。基準の具体的な技術水準などは、建築基準施行令や施行規則などで詳細が規定されています。また、基準が実効性をもつように、着工前の建築確認や工事中の中間検査、完了検査、違法建築物の是正措置なども定められています。
建築基準法はこれまでに何度も改定を重ねています。1981年には現在の耐震基準が導入、2003年にはシックハウス対策の規定導入、2007年には耐震偽装事件を受けて建築確認審査の厳格化が図られました。中古マンションを選ぶ際には、いつ建てられたかによって基準が異なるため、築年は大まかな安全性を見るときの一つの目安にもなります。
接道義務
接道義務とは、都市計画区域および準都市計画区域内に建築物を建てるときは、その敷地は、幅員4m(特定行政庁が必要と指定する区域内では6m)以上の道路に、2m以上接していなければならないと、建築基準法で義務付けられているものです。
この場合の道路とは、公道または特定行政庁から位置の指定を受けた私道「位置指定道路」などで幅員4m以上のもののほか、幅員4m未満の道で特定行政庁が指定した「みなし道路」などをいいます。「みなし道路」の場合には、敷地境界線から建築物を後退させて建てる「セットバック」が必要となります。
なお、中古物件などの不動産広告で接道義務違反の土地は、「再建築不可」または「建築不可」と表示しなければなりません。
公道
公道とは、国や地方自治体など公的主体が管理している道路のことです。道路法で定める高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道などです。また、農道や林道も公的な保護や助成が受けられる半面、所有者による自由な処分はできず、公道としての性格が強いものです。公道の交通に対しては、道路交通法が適用されます。
建築基準法で道路という場合には、「幅員4m以上のもの」と規定されており、公道か私道かにかかわらず、接道義務がクリアされていれば問題はありません。
なお、公道であれば道路の補修など維持管理を公的に行ってくれるので、私道を寄付して公道に移管しようとするケースがありますが、実際には予算の関係などから、なかなか寄付を受けつけないようです。小規模な開発地などで、袋上の前面道路が私道になって、何軒かで私道負担している場合があります。私道であっても公衆用の道路として維持管理されていれば問題ありませんが、凸凹のままなど維持管理状態が悪いものもあります。現地見学では、維持管理の方法や費用負担について、確認しておきましょう。
採光
採光とは、自然の光を窓などから室内に取り入れることをいいます。建築基準法では、住宅の居室について、居室の床面積の1/7以上の採光に有効な開口部の面積が必要と規定されています。ただし、「採光」とは直射日光のことではないので、北側の窓が「採光に有効な窓」となる場合もあります。有効な採光面積は、用途地域や部屋の大きさ、窓の大きさによって決定されます。ただし、納戸やトイレ、浴室、洗面室などは対象となりません。
隣家が迫っている住宅密集地などでは、採光を確保するために、天窓やライトコートを設けるなど、さまざまな工夫が見られます。また、日当たりを調節するには、カーテンやブラインド、反射ガラスなどを利用します。
敷地
敷地とは、建物が立っているか、これから建物を建てる土地のことです。敷地面積は、その土地の面積のことで、水平投影面積をいいます。水平投影面積とは、土地や建物を真上から見たときの面積で、傾斜や凹凸があっても、水平として測定した面積になります。
敷地面積には、登記簿に記載された登記簿面積(地積)と実測面積が異なっている場合があります。そのため、土地の売買契約などにおいては、土地家屋調査士などの専門家による実測をしてからというのが鉄則です。
なお、住宅を建てるために土地を購入するときには、接道条件などによっては、土地面積の一部が敷地面積に算入できないので、注意が必要です。また、敷地面積だけでなく、建物の配置や駐車場のスペースなども考慮しましょう。
路地状部分
路地状部分とは、道路に接する間口が狭く、奥まったことろに位置する変形敷地の通路部分をいいます。
建築基準法では、建物の敷地は4m以上の道路に2m以上接していなければなりません。道路から奥まった敷地は路地状敷地と呼び、この路地状部分は敷地の一部となります。
路地状部分については、自治体などによって、路地状部分の長さや必要な幅員に制限を設けています。
例えば、東京都の場合、安全上および防火上の理由から、路地上部分の長さが20m以下のものは幅員2m以上、20mを超えるものは幅員3m以上となり、袋地状敷地には、原則として共同住宅や店舗、工場などは建てられなくなっています。