抵当権
ていとうけん
抵当権とは借金の担保として不動産に設定される担保権のことで、抵当権設定登記とは、担保不動産として登記することです。
抵当権とは、
住宅ローンなどを借りる際に、借金の担保として不動産に設定される担保権のことです。
抵当権は、万一、債務者(借り手)が債務の返済ができなくなった場合に、債権者(貸し手)がその不動産を
競売するなどして、その代金から優先して債権を弁済できるというものです。抵当権の設定は、土地や建物など不動産のほか、
地上権や永小作権にも設定できます。抵当権は質権と違って、担保になった不動産を債権者に引き渡すことなく自由に使用できるものです。
住宅ローンを組むときには、金融機関と抵当権設定契約を結び、抵当権設定登記を行います。登記簿に、抵当権設定の日付、原因、債権額、利息、損害金、債務者、債権者(金融機関)などが記載されます。なお、添付書類として、抵当権設定契約書、登記識別情報または登記済証、
印鑑証明、司法書士への委任状などが必要です。また、抵当権設定登記には、
登録免許税がかかります。
印鑑証明
印鑑証明とは、届出の印鑑と同一であることを証明するものです。自分だけの印鑑であることを証明します。
印鑑登録は、個人の場合には住所のある市区町村に届出ます。印鑑登録できる印鑑には一定の制限があり、「すでに他の人が登録しているもの」「不鮮明なもの」「一部が欠けているもの」「8mm四方を下回るもの」「25mm四方に収まらないもの」「ゴム印など変形しやすいもの」などは登録できません。また、印鑑証明書は登録と同時に発行してもらえます。印鑑登録された印鑑は「実印」として使用できます。それ以外のものは、「認印」と呼ばれ、正式な文書などでは使用しません。
不動産の売買契約や車などの購入、住宅ローンの契約、不動産登記などには、印鑑証明書が必要になります。印鑑証明書を添付することで、その印鑑が本人のものに間違いないことを証明します。
競売
競売とは、「せり」「オークション」と同じ意味です。大勢の買い手に申し出をさせ、最高価格を提示した人に売却します。
なお、競売物件とは別に、通常の流通物件を対象とした不動産オークションの新しいシステムも登場しています。
不動産の場合では、住宅ローンなどの返済ができないとき、債権者(金融機関など)が裁判所に申し立てると、担保物件を裁判所が売却します。これが競売物件で、売却代金を債務の返済に充当します。競売物件は、現況調査が行われ、最低売却価格・入札期間などが公示されます。その最低売却価格以上の最高値で入札した人が購入できます。なお、期間中に売却できなかった物件は、最低売却価格を下げて先着順で売却する特別売却が行われます。
競売物件の落札価格は、通常の価格より安くなるのが一般的です。ただし、建物の内部を見ることができなかったり、物件の説明をしてくれる業者がいない、明け渡し交渉が難しいケースがある、瑕疵(かし)担保責任がない、などのリスクも伴います。また、入札後のキャンセルはできません。
なお、競売物件とは別に、通常の流通物件を対象とした不動産オークションの新しいシステムも登場しています。
住宅ローン
住宅ローンとは、個人が住宅を購入・建築する資金として利用できる融資のことです。住宅ローンには、「銀行ローン」「フラット35」「財形住宅融資」などがあります。
民間金融機関による融資は、都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、ノンバンク、モーゲージバンクなどが取り扱っており、多彩な商品があるので選択肢は豊富です。金利も「変動型」「一定期間固定型」「全期間固定型」から選ぶことができます。「フラット35」は民間金融機関と住宅金融支援機構が提携している長期固定金利型住宅ローンです。また、職場で財形貯蓄を行っている人が受けられる「財形住宅融資」もあります。そのほか、共済組合や生保ローン、JAの組合員向けローンなど、様々なものがあります。売主が提携ローンを用意している場合もあります。
これらのローンの中から、自分が受けられるローンを把握し、無理のない返済計画を立てることが大切でしょう。住宅ローンは必ずしも一つにする必要はなく、変動型の銀行ローンとフラット35を組み合わせたり、夫婦で返済期間の異なるローンを組むことも可能です。たくさんの選択肢があるので、ファィナンシャルプランナーなどに相談しながら、自分たちに合うプランを選択するのが賢明です。
地上権
地上権は、借地権の一つで、他人の土地において、建物などの工作物を所有するために土地を使用する権利のことです。工作物が建物の場合には、借地借家法による保護の対象となります。
地上権は、土地所有者との借地契約に基づいて設定され、登記簿に登記されます。地上権を有する人は、所有権と同じようにその土地を自由に使用できます。また、地主の承諾がなくても自由に譲渡・転貸できます。地代を払うかどうかは、契約によって異なります。
地上権は、賃借権と異なり、民法上「物権」の扱いです。金融機関などから融資を受けるときに、担保物件として設定することも可能です。
登録免許税
登録免許税とは、不動産の登記や住宅ローンの抵当権設定登記にかかる税金です。
不動産に関連するおもな登録免許税は、所有権の保存登記(建物を建てたときに行う)、所有権の移転登記(土地・建物の売買、相続、贈与による所有権の移転)、抵当権設定登記(住宅ローンを借りるときに、抵当権を設定する)があります。税額は、「課税標準額」に対して所有権の保存登記は0.4%、所有権の移転登記は売買によるものが2%、相続によるものが0.4%、贈与によるものが2%となっています。抵当権の設定登記では、債権額(借入額)の0.4%となります。ただし、住宅用家屋は一定の条件を満たす場合に税率の軽減措置を受けられます。
なお、不動産購入に際して、不動産登記手続きは司法書士に代行してもらうのが一般的です。