同時決済
どうじけっさい
同時決済とは、不動産の売買契約と融資の実行を同時に行うことです。
同時決済とは、不動産の売買契約と
住宅ローンの融資実行を同じタイミングで行うことです。
売主、買主、金融機関、司法書士などが一堂に会して、手続きをいっぺんにやる方法です。
住宅ローンを借りて住宅を購入するときには、物件の引き渡し時に、「売買契約」「
所有権の保存登記」「
住宅ローン契約」「買主の
抵当権設定登記」を同時に行います。
また、
中古住宅を購入する場合には、「売買契約」「
売主の
抵当権の抹消」「
所有権の移転登記」「
住宅ローン契約」「買主の
抵当権設定登記」を同時に行います。
買い換えの場合には、売却代金をローンの残債に充当することが多く、同時決済は大変便利です。ただし、金融機関によっては、同時決済ができないこともあります。また、同時決済ができないと、買い換えにともなう「
つなぎ融資」が必要になります。うまく同時決済を行うには、不動産会社や金融機関との緻密な打ち合わせが必要です。
つなぎ融資
つなぎ融資とは、新規に住宅を購入する場合において使用されます。例えば、公的融資による融資がローン実行までに間に合わず、支払うべき資金が不足することが考えられます。その際、民間のローンから短期的に借入を行い、必要な資金を支払うというものです。本来の融資が開始される前のつなぎとしての役割を果たすため、つなぎ融資と言います。
つなぎ融資は、資金繰りのタイミングから生じる建築会社等への支払い滞納を防げるというメリットがあります。一般的に、建築会社等には工事の進捗状況に応じて、手付金、中間金、住居完成時の残金を支払わなければなりません。また、住居が完成しても残金の支払いが完了しないと建物は注文者の所有物にならないのです。しかし、住宅ローンは自分名義の建物や土地でなければ実行されません。また、住居の引き渡しから融資実行までにはおおよそ2カ月ほど必要です。そのため、住宅ローンが実行されるより前に建築会社等への支払いをスムーズに済ませる為にはつなぎ融資が有効なのです。
ただし、つなぎ融資には注意点もあります。全ての金融機関が取り扱っているわけではないこと、金利や手数料が必要ということが挙げられる為、自己資金の状況から使用を判断すべきでしょう。
住宅ローン
住宅ローンとは、個人が住宅を購入・建築する資金として利用できる融資のことです。住宅ローンには、「銀行ローン」「フラット35」「財形住宅融資」などがあります。
民間金融機関による融資は、都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、ノンバンク、モーゲージバンクなどが取り扱っており、多彩な商品があるので選択肢は豊富です。金利も「変動型」「一定期間固定型」「全期間固定型」から選ぶことができます。「フラット35」は民間金融機関と住宅金融支援機構が提携している長期固定金利型住宅ローンです。また、職場で財形貯蓄を行っている人が受けられる「財形住宅融資」もあります。そのほか、共済組合や生保ローン、JAの組合員向けローンなど、様々なものがあります。売主が提携ローンを用意している場合もあります。
これらのローンの中から、自分が受けられるローンを把握し、無理のない返済計画を立てることが大切でしょう。住宅ローンは必ずしも一つにする必要はなく、変動型の銀行ローンとフラット35を組み合わせたり、夫婦で返済期間の異なるローンを組むことも可能です。たくさんの選択肢があるので、ファィナンシャルプランナーなどに相談しながら、自分たちに合うプランを選択するのが賢明です。
中古住宅
中古住宅とは、過去に人が住んだことのある既存住宅のことです。流通物件と呼ばれ、仲介会社を通じて取引されるのが一般的です。また、未入居であっても、完成から1年以上(「フラット35」では築後2年以上)経過したものは、中古に分類されます。
日本では、住宅供給量に占める中古注宅の比率は少なく、欧米の数分の1程度です。しかし住宅ストック数の増加や高齢化を背景に、中古住宅への関心は高くなっています。
中古住宅の価格は、仲介会社などが経験を基に近隣で売買された事例と比較して提案し、それをもとに売主の意向を反映して売出価格が提示されます。しかし、中古住宅は新築に比べて物件ごとの安全性や品質、性能の差が大きく、また、売却を急いでいるかどうかでも成約価格に違いがでるなど、物件と価格の妥当性を客観的に比較検討するには、情報が不十分だといわれてきました。これに対して、住宅性能表示制度を利用した評価など、客観的な情報を積極的に開示するケースも出ています。
中古住宅は新築に比べて価格が手ごろなため、近年は、立地や構造に納得できる中古物件を購入して、自分好みにリフォームする人も増えています。売り手と買い手の双方が納得できる客観的基準の提示によって中古住宅の流通を活性化させるため、既存住宅性能表示制度などが活用され始めています。
抵当権
抵当権とは、住宅ローンなどを借りる際に、借金の担保として不動産に設定される担保権のことです。
抵当権は、万一、債務者(借り手)が債務の返済ができなくなった場合に、債権者(貸し手)がその不動産を競売するなどして、その代金から優先して債権を弁済できるというものです。抵当権の設定は、土地や建物など不動産のほか、地上権や永小作権にも設定できます。抵当権は質権と違って、担保になった不動産を債権者に引き渡すことなく自由に使用できるものです。
住宅ローンを組むときには、金融機関と抵当権設定契約を結び、抵当権設定登記を行います。登記簿に、抵当権設定の日付、原因、債権額、利息、損害金、債務者、債権者(金融機関)などが記載されます。なお、添付書類として、抵当権設定契約書、登記識別情報または登記済証、印鑑証明、司法書士への委任状などが必要です。また、抵当権設定登記には、登録免許税がかかります。
所有権
所有権とは、特定の物を自由に使用、収益および処分できる権利です。所有権を持つ人は、その所有物に対して独占的に支配できます。所有権は時効によって消滅することはありません。
ただし、自由にできる権利は、法令上の制限の範囲内です。また、公共の福祉に反する権利は認められていないため、一定の制限を受けます。
また、所有権を有する物件について、所有者以外の人が抵当権や借地権を設定している場合には、その制限を受けます。
売主
売主とは、不動産取引においては、土地や建物などの不動産を売る個人または法人をいいます。購入者にとっては、売買契約を結ぶ相手です。
新築マンションや開発分譲地、建売住宅などでは、デベロッパーや不動産会社などの法人が売主となっているのが一般的です。その場合には、売主または代理会社は宅地建物取引業者であり、取引に際しては、手付金の保全義務やクーリングオフの制度などで消費者が守られています。また、仲介手数料も発生しません。
一方、中古物件では、売主は個人のケースが多くなります。その場合は、一般的に不動産会社が「媒介」することになり、仲介手数料が発生します。
まれに、登記上の所有者と売主が異なる場合、所有者の代理人が売主になっている場合、売買契約に売主ではなく代理の人が立ち会う場合などがあります。そのような例外的なケースでは、契約の前に本人確認や委任状の確認が重要となります。